高齢者の排泄物の処理、男たちの性欲処理、それでも…

高齢者の排泄物の処理を行い、同僚の日本人からいじめられ、風俗店で不景気な男たちの性欲処理の相手をするユキの目に、日本社会はどう映っているのだろう。

「彼女の日本での生活は、いつも不機嫌な人たちから思いやりのない言葉を浴びせられ、低賃金で心身ともに酷使されてきました。『クール・ジャパン』や『おもてなし』とは正反対の、ディストピアのような日本で彼女は生きている。話を聞いていて、正直しんどかったです」

せめてもの救いは、その後ユキは日暮里の仕事を辞め、茨城の農場で働き始めたことだ。

40分7500円のチャイエス嬢に転身したベトナム人女性技能実習生。「介護職場での差別的待遇」「日本人からのいじめ」「性欲処理」…ボドイ「日暮里のユキ」が見たクール・ジャパンとは程遠い日本の絶望風景_2
ユキがベトナムの故郷の村に帰るまで、あと1年の我慢である 写真/Soichiro Koriyama
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「ボドイの問題は『可哀想な人たち』という一言では決して語りきれないし、かと言って、『叩き出せ』と簡単に言えるような問題でもありません。ただ、多くの日本人の知らないところで、事態はここまで大きくなっている。その事実を高い解像度で示したかったのです」

本書はアンダーグラウンドの犯罪録や突撃ルポとして読むこともできるが、訴えるものはそれだけに止まらない。日本社会が今、外国人や移民とどう向き合うべきか、考える一助になるはずだ。

#1 外国人ヤンキーを「現代の奴隷制」のなかで輸入しないと成り立たない理由

取材・文/西谷格