高齢者の排泄物の処理、男たちの性欲処理、それでも…
高齢者の排泄物の処理を行い、同僚の日本人からいじめられ、風俗店で不景気な男たちの性欲処理の相手をするユキの目に、日本社会はどう映っているのだろう。
「彼女の日本での生活は、いつも不機嫌な人たちから思いやりのない言葉を浴びせられ、低賃金で心身ともに酷使されてきました。『クール・ジャパン』や『おもてなし』とは正反対の、ディストピアのような日本で彼女は生きている。話を聞いていて、正直しんどかったです」
せめてもの救いは、その後ユキは日暮里の仕事を辞め、茨城の農場で働き始めたことだ。
「ボドイの問題は『可哀想な人たち』という一言では決して語りきれないし、かと言って、『叩き出せ』と簡単に言えるような問題でもありません。ただ、多くの日本人の知らないところで、事態はここまで大きくなっている。その事実を高い解像度で示したかったのです」
本書はアンダーグラウンドの犯罪録や突撃ルポとして読むこともできるが、訴えるものはそれだけに止まらない。日本社会が今、外国人や移民とどう向き合うべきか、考える一助になるはずだ。
#1 外国人ヤンキーを「現代の奴隷制」のなかで輸入しないと成り立たない理由
取材・文/西谷格