──駅によっては周りに人家もないので、乗り遅れたり間違えると大変ですよね。
「印象深いのが北海道の士幌線(しほろせん)です。黒石平駅で降りたのですが、そこが下り列車しか停まらないんですよね。だから、上り列車が停まる1キロ離れた隣駅・電力所前まで歩いて行ったんですけど、駅の場所が分からなくなって乗り遅れてしまいました。あそこは以前は集落があったんですけど、集団移転して人が住んでいなかったんです」
──何もないところで電車に乗り遅れるとすごく心細そうですね……。
「その日は元旦でバスも走っていなかったので、2つ手前の清水谷駅まで歩いて行きました。そこには駅を管理されているご夫婦がいて、ストーブの付け方を教えてもらったりしました。当時は北洋式ストーブといって、薪ストーブが主流でした。『消すときはここのふたをしめるんじゃい』って教えてもらいました」
──今と昔で駅舎巡りの方法はどう変わりましたか?
「Googleマップなどのナビができてむちゃくちゃ便利になりました。あとはデジタルカメラ。昔はフィルムでしたが、かさばるのであまりたくさん持てなくて。一駅2~3枚と計算してやっていました。『もっとフィルムがあればたくさん撮れるのに……』と思ったりもしていました」
──2000年には、JR駅全駅掲載のHPも作られたんですね。
「それまでは写真を撮っても公開できる場がなかったので、HPを作ったことでかなり満足できました。当時はHP作成ソフトを買って、わからないなりに作りました」
──最後に、あらためて駅舎の魅力を教えてください。
「駅によってみんな形が違うので、その面白さに惹かれます。それと、列車に乗っているときは駅を内側しか見られないじゃないですか。だからどんな駅なのかを外側から、自分の目で見てみたいっていうのがあって。やっぱり駅舎って、その土地にしかないものだから、そこが面白いですね」
写真提供/西崎さいき