私生活を注意したことで恨みをかってしまった

2021年4月末、「きなこもち」が書き込んだSNSはたちまち拡散され、地元の匿名掲示板は炎上した。『母親が悪い』『いじめはなかった』とネット上では心無いカキコミが続いた。だが、広瀬さんの自宅に入ったことのある支援者や友人は、「部屋は整頓されているしゴミもない、仕事もしっかりとしてされており収入もある、誰の話をされているのか…」と首を捻る。

長年、旭川事件を取材してきた記者が解説する。

「『きなこもち』の友人でXという女性がおり、『きなこもち』の情報源はXだということがこれまでの裁判資料ででてきています。Xは広瀬さん(母親)とは10年以上前に、少しだけ職場が同じで、子どもも同世代、家も近所だった。またXはコワモテで気が強く、過去に私生活を注意したことで広瀬さんはXから恨みをかっていたと思われる。“いじめ事件”が明るみになり、自身の子どもが通う学校に誹謗中傷や爆破予告がきたことからXは『子どもを守るために(きなこもちに)情報を教えた』と周囲に話している」

〈旭川いじめ事件から2年〉デマ・誹謗中傷が再び少女を傷つけた“もう一つの旭川事件”。名誉棄損の投稿者“きなこもち”の意外すぎる正体と“同級生”を騙って侮辱罪の愛媛在住・無職男の弁明「批判するのは公共性、公益性がある」_3
旭川地方裁判所

訴状には、原告側である爽彩さんの母親は「自殺の原因が母親の監護体制や家庭環境にあることを強調するものとなっており、執拗である」「投稿内容も単なる事情の知らない第三者が投稿しているような外見ではなく、あたかも子を小学校時代から知っている内部関係者であるかのように装っての投稿をしており、悪質性が高い」と主張。

いっぽう被告側の女性「きなこもち」はツイッターに投稿した事実は認めているが、投稿内容については「投稿は断片的な事実を記載したもので根拠はない」「原告の社会的評価を低下させたとはいえない」とし、争う姿勢を示している。

取材班は1月末日、「きなこもち」の自宅に話を聞きに行ったが、室内から声はするもの、インターホンを押しても応じられることはなかった…。