衆院長崎4区補選は、北村誠吾・元地方創生相の死去に伴うもので、金子原二郎・元農水相の長男・容三氏が出馬。
亡くなった北村氏と金子氏の父・原二郎氏はともに岸田派に所属していたこともあり、長崎4区の補選は「岸田派の選挙」として、連日、同派の議員らが応援に駆けつけている。
しかし、地元は一枚岩とは到底言い難い状況だという。
「北村氏が後継指名していた県議が公認候補に選ばれず、北村氏の陣営が金子氏の応援に動いていないのです。また、金子氏には世襲批判もあり、弔い選挙にもかかわらず、金子氏が思うように差をつけられず、接戦となっています」(全国紙政治部記者)
「増税クソメガネ」批判で補選もピンチ? ダブル敗戦なら岸田首相の求心力低下は必至。情勢調査のまさかの結果に「だからサミット後の6月に解散しておけば…」
10月22日に投開票が行われる衆院長崎4区と参院徳島・高知選挙区のダブル補選。いずれも与野党一騎打ちの対決構図となり、岸田文雄首相にとっては今後の解散戦略を占う試金石となる。しかし、永田町に出回る情勢調査の衝撃の結果に首相は焦る一方で……。
「増税クソメガネ」批判はやまず、「自民が8ポイント差で負け」の衝撃。

長崎県平戸市で遊説中の金子容三氏(公式ホームページより)
一方、長崎4区補選の同日には、参院徳島・高知選挙区の補選もある。
「高野光二郎氏の暴力問題による辞職に伴うものです。自民は元高知県議の西内健氏、野党側は、立憲で衆院議員を務めた広田一氏を無所属で擁立。いずれも高知を地盤とする候補者です」(同)
この補選をめぐって永田町に出回っているデータは関係者に衝撃を与えている。9月下旬の自民党調査では参院の高知・徳島で自民候補が8ポイント差で負け、立憲調査でも自民候補が3~4ポイント負けているというものだ。
「自民の調査では、徳島では自民・西内氏がわずかに先行しているものの、高知は知名度のある広田氏が10ポイント以上差をつけています。
参院徳島・高知選挙区は、もともとは自民議員の地盤だった選挙区。仮に2つとも補選で負けると、岸田首相の求心力低下は免れません。
『ドリル優子』こと小渕優子氏を選挙の顔となる選挙対策委員長に就けた判断の責任も問われるでしょう」(自民党関係者)

選挙活動をする西内健氏(本人Facebookより)
2補選で自民が苦戦している背景には、内閣支持率が低下していることもある。NHKが10月7~9日に実施した世論調査では、内閣支持率は36%と相変わらず低迷。
10月1日から始まったインボイス制度や、防衛費増額のためのたばこ税増額などを受け、SNSでは首相に対し「増税クソメガネ」との批判が噴出している。
こうした批判を気にして、首相は9月25日、賃上げ促進税制を強化するなどの「減税」をアピールした。
ただ、自民党内からは「いくら『減税』といっても、実態は企業への還元で、生活者個人への還元ではない。ストックオプション税制の充実などと言われても、一部にしか恩恵はない。
そこを見透かされているので、『増税クソメガネ』批判は今後も続くのでは」(中堅議員)との声が漏れる。
選択肢がなくなってきた解散日程
こうした批判の中でも、首相は衆院解散に積極的とされているが、首相が模索している「経済対策で支持回復→年内解散」の選択肢は限られてきている。
そもそも、12月は来年度の予算編成や税制改正議論が大詰めを迎える時期で、ただでさえ衆院解散は難しい。
「首相は、臨時国会での補正予算の成立をめざすと強調しています。補正予算が成立した後に解散するとなると、12月の投開票が現実的です。
12月の日曜日は、3,10,17,24,31日ですが、補正予算案の審議の日程を考えると3日はきつい。10日は前日が皇后さまのお誕生日のため、首相が皇居にお誕生日行事に行くことになりますが、選挙戦最終日は接戦の選挙区に最後のテコ入れに行きたいでしょうから、行動が制約されることは避けたいでしょう。
最有力とされる17日投開票も、東京開催のASEAN特別首脳会議(12月16~18日)とかぶる。24日投開票だと、これも前日が上皇さまお誕生日となります。31日は大晦日ですから、ありえませんし……」(自民党関係者)

解散時期をはかりかねている岸田文雄首相(本人Facebookより)
年内の解散を見送ると、首相が再選をめざす来年秋の自民党総裁選前まで、日程の選択肢はもう多くない。
「年明けは予算審議があり、解散は現実的ではありません。
とはいえ、予算委員会では連日、首相や大臣が野党の追及の矢面に立たされるため、予算成立後の解散も難しい。
総裁選目前の夏の総選挙が考えられますが、政治は一寸先が闇の世界。そのときに解散を打てるような政治状況かどうかは、わかりません」(全国紙政治部記者)
こうした状況に、自民党内からも焦りの声が聞こえる。
「9月中旬の情勢調査では、衆院を解散した場合、自民が現有議席から40以上減らし、単独では過半数を維持できないという結果が永田町に出回りました。
物価高も落ち着かず、この先、支持率が回復する見込みも立っていません。『だからサミット後の6月に解散しておけば』と、首相の政治センスを疑問視する声も上がっています」(自民党関係者)
首相がメガネの先に見通す戦略は……。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
新着記事
動画配信事業で苦戦か…エンタメ業界の巨人ディズニーがアクティビストに狙われる理由


忍者の里を越えたら韓国寺院。知られざるニッポンの異教世界



夫婦同姓が婚姻の条件になるのは世界で日本だけ。地裁では同性婚を認めないことは憲法違反の判決も…世界から取り残される日本の婚姻制度
ルールはそもそもなんのためにあるのか #1