冬の北海道で“一切の妥協がない”撮影
――映画『そして僕は途方に暮れる』は、2018年に藤ヶ谷さんが座長を務めた同名タイトルの舞台が原作ですね。4年ぶりに同じ役を映画で演じることになりましたが、どのような準備をしましたか?
舞台の台本を読み返し、それぞれのシーンで、どういう気持ちだったかを思い返しました。ただ、今回の撮影には舞台でご一緒した方だけでなく、新たにご一緒する方もいらっしゃったので「こうだ!」と決めつけすぎずに挑みましたね。
――作品を見させていただき、冬の北海道・苫小牧での撮影は過酷だったのではないかと想像しました。
そうですね。朝5時くらいから外で撮影するシーンがあったのですが、日中も夜中もずっと氷点下でしたから。(三浦大輔)監督と「寒いね、風呂入りたいよね~」って話したこともありました。そんな環境の中で、チームのみんなで、一切の妥協をせず頑張った作品ですので、より多くの皆さんに届いたらいいなって思います。
――妥協がない、ということで具体的にこだわったシーンがあれば教えてください。
三浦監督の細かいニュアンスに、お芝居を当てていく作業がすごく難しかったです。例えば、扉を開ける動きや、セリフ1つにしても、細かい違いを表現するのに、何度もテイクを重ねました。当然、時間もかなりかかりましたが、時間が押しているからOKということは一切なくて。精神的にも今までにないぐらい追い込まれましたね。
そんな中、監督が「今日の撮影長いね~」って何気なく言ってきたときには、「この人どういうつもりなのかな」って思いました(笑)。
――それは(笑)。
撮影が終わった今は、すごく素晴らしい経験をさせていただいたなって思いますし、“三浦組を耐え抜いた男”として誇りに思っていますけどね。