アメリカに半世紀遅れで根付いた
日本式バンライフ=シャチューハクとは
「『マス・メディアの商業主義文化』とは異なる文化財、アート、価値観、行動様式」(出典:Wikipedia)を“サブカルチャー”と呼ぶ。
ならば昨今、ちまたで大流行している車中泊は、現在進行形の立派なサブカルチャーと言ってもいいのではないだろうか。
みずからの手でカスタムしたクルマを使い、旅するように暮らす“バンライフ”は、ヒッピー文化の延長として、1960年代後半以降のアメリカを中心に広まったライフスタイルだ。
アメリカとは諸条件が異なる日本においては、バンライフはなかなか根付くことがなかった。
だが日本もここ10年ほどで、人々の消費行動がモノからコトへと大きく移行し、エコロジカルなシンプルライフを志す者が増加した。それに加え、ノマド的なワークスタイルが受け入れられるようになったため、日本式バンライフ=シャチューハクが急速に注目されるようになったのではないかと思っている。
サブカルチャーには、「ブルジョアが支持するハイカルチャーに対抗する大衆文化である」という側面もある。
決して“富裕層”とは言えない普通の人々が、それぞれのフトコロ事情と相談しながら創意工夫を凝らしてカスタムした等身大のクルマで楽しむ車中泊は、そうしたカウンター的な性質を持っているとも言えよう。
だから、黙ってはいられなかったわけですよ。
“サブカルオヤジ”を自認する僕としては。
いまの日本においてもっとも熱く、最先端をいくサブカルであろう車中泊に、なんとしてでも絡まなければ。
長く旅をするために、快適性はしっかり確保しつつ、なるだけお金をかけずにすむ手段は何かと考え、まずはいま乗っているクルマを使って車中泊をはじめる方法を模索した。
しかし僕の愛車・スバルXVはコンパクトSUVなので、車内の居住性が低い。
そこでXVの屋根に、足を伸ばして寝るための折り畳み式ルーフテントを設置しようと考え、実際に販売店で取り付け寸前までいったのだが、XVは屋根のサイズが小さすぎて不適合であることが判明。断念せざるを得なかった。
そうなると次に考えられるのは、やはり車中泊専用車を一台購入するということ。
とすれば、どんなクルマがいいのだろう?
雑誌やYouTubeなどに多数あげられている先達の声に耳を傾けると、一人の車中泊旅に最適なのは、小さな排気量と外寸に反して車内がとても広い、軽自動車のバンかハイトワゴンだということがわかった。
軽ならばガソリン代や税金、高速代などの諸経費も安く抑えられるし、何より、狭い道や駐車場の多いこの日本の諸規格に非常に合っている。
僕は、軽自動車のバンかハイトワゴンを早急にゲットし、内・外装をできるだけおしゃれかつ快適にカスタムしたうえで旅の相棒にする目論見を立てた。