利益が出ているように見せるフェイク画面
暗号資産(仮想通貨)を使った詐欺も最近のトレンド。「今、この暗号資産に投資すれば、AIを使った最新のシステムで運用し、月利20%の配当が出る」などと言葉巧みにそそのかし、数十万円を出資させた後、業者や紹介者とはまったく連絡がとれなくなる、というのが典型的なパターンだ。
「一度、暗号資産に投資すると、自分のスマホ画面ではどんどんお金が増えていく。だからまたお金を振り込んでしまうのですが、それは利益が出ているように見せるフェイク画面で、現実には何の取引きも行われていなかった、という被害も増えている。送金先が海外にあるために業者を追跡することが難しく、結局、投資したお金を回収できずに泣き寝入りとなってしまうパターンが多いのも仮想通貨トラブルの特徴です」(国民生活センター担当者)
さらに、そこに絡んでくるのが貸金業者で「特に注意が必要なのは、学生ローンです」と西田教授は警告する。
学生ローンの内容は扱う会社によって異なるが、一般的には他のローンに比べて審査が緩く、融資限度額は50万円程度、金利は15~17%程度と、ローンを組んだ大学生にとっては重い負担となる。
「学生ローンも4月1日から18~19歳でも親の同意なく契約できるようになりましたが、悪徳業者はそこにつけ込んでくる恐れがあります。例えば、学生が契約窓口で『投資や事業のため』などと告げれば断られますが、『学費のため』といえば審査が通りやすくなる。そうやって悪徳業者はカモにした学生にうまくローンを組ませるため、手法を指南したり、時には学生ローンを扱う店舗まで連れて行ったりすることもあります」
「一方の貸金業者の側も、学生の口ぶりから本当に学費目的か?と疑う余地があっても、そこは黙認して高額なお金を貸しつけたりする。つまり、悪徳業者と貸金業者が結託している可能性もあるということです」
西田教授は、消費者保護の観点から「大学などに在学中の18~19歳に限り、未成年者取消権を特例的に認めるなどの救済策も必要ではないか」と訴える。
いずれにせよ、新成人たちは「安易に儲け話に乗らないこと」を肝に銘じるべきだろう。