江口さん、思い切ってエロ漫画描いてみれば?(本宮)
本宮 60代ぐらいの頃はまだいろんな愚痴を言うわけですよ。ところが70代半ばになってくると、その愚痴が全部本物になってくるわけ。これ80いっちゃったら、あとは死ぬまでの時間になってくるわけでしょ。そうすると、例えばあと5年しかないんだよなっていうことになるんだから、楽しいことを探すっていうのは一番重要ですよ。
それは例えば女のコの顔描くことが楽しいんだったら、そこをどんどんやりなさいって。
江口 時間がなくなってくるのは実感しますね。
本宮 江口さん、大事なことはみんな捨ててさ、もう一回漫画描いてみるとか?
江口 それもいいですね。多分エッセイで読んだと思うんですけど、60近くなってから漫画を描くのが楽しくなったとおっしゃってましたよね?
本宮 それは漫画を遊び道具にして、身に付き始めた頃だと思う。
江口 今はないんですか。
本宮 それも消えてきてるから、いよいよ終わりかな、とか思いますけど。漫画っていうのも考えようによっては遊び道具のときは楽しいんですけど、それを「描かなきゃ」とか追い詰められると……。
江口 漫画はきついしかない。多分、楽しいと感じた瞬間はないかもしれないな。イラストもそんなに好きじゃない(笑)。
僕、決して絵を描くのが好きというわけではないんですよ。じゃあ何が好きかっていうと……ラブですかね(笑)。絵を描くのが一番の遊びになったら幸せでしょうね……。
本宮 俺の年になって感じるんだけど、もうね、女性とそういう行為してる最中、心の中では天井見て鼻くそほじってるから。そこもきちんと真剣な恋愛にいかない限りダメなんだよなっていうのは感じるけど、最近、正直言って女性を見なくなった。
江口 僕、まだすごい目で見ますからね(笑)。
本宮 なら、そこにどっぷり浸った方がいいですよ。
江口 異常なのかな。
本宮 思い切ってエロ漫画描いてみれば?
江口 エロ漫画は描くとやばいんですよ。多分エロすぎるから。自分で引くと思う。だから人に見せたくない。
本宮 エロすぎるエロっていうのは是非やってくださいよ。
江口さん、死ぬまでにもう一回漫画一本描いてみてよ。
漫画っていうのはスーパーマンばっかり描くのから始まってるんだけど、今のこういう状況だと、普通の生活者っていうのかな。もうスーパーマンを描く必要がないんだから。
最近、『グッドジョブ』(2018年〜)っていう、例えば消防署の職員だとかいろんな業種の人にスポットライトを当てて3回ぐらいずつで完結するのを描いたんだけど、こんなものダメだって言われてたのが、(電子版)配信のやつも結構売れたのよ。
江口 読者が若いんじゃないですか? 行き場がない感じの彼らにとって何か惹かれるものがあったんじゃないですかね。
本宮 是非、江口さんのエロ漫画見たいね。
江口 描いたらお見せします、本宮先生に。元気になっちゃったりして(笑)。