キャプテンではないのに光っていたリーダーシップ

GKとしてのプレーや技術以外にも、当時から権田には光るものがあった。

「チームが勝つために大きな声を出して、いつもチームを盛り上げることができる子でしたね。うちの息子が5年生のときに、ゴンちゃんがいた6年生の試合に帯同してじっくり試合を見る機会があったのですが、その元気な姿は印象的でした。みんなが静まり返る場面でも、鼓舞できるのがゴンちゃんなんですよ。『何やっているんだ!』と厳しい声を出すこともあれば、『もう少し頑張れば相手を抑えられるぞ!」と盛り上げることもあって」

当時のチームキャプテンは、川崎市の選抜チームにも選ばれていたCBの選手が務めていた。ただ、権田がその陰に隠れる存在だったわけではなかった。むしろ、キャプテンという役職を与えられていなかったからこそ、澤田の目には権田の秘められた“ある資質”が光って見えた。

小学生年代ではそもそも、キャプテンを任され、率先して口を開くように求められて初めて声を出す子も少なくない。逆に言えば、キャプテンマークを巻かない選手が自発的に声を出していたとしたら、それは本当のリーダーシップを備えているということでもある。権田はまさに、そんなリーダーシップのある子だった。

「GKの子には『いちばん後ろにいて、いろいろと指示を出せる立場にあるんだから、右サイドを警戒しろとか、どこがフリーなのかを大きな声で教えてあげよう』とは伝えています。でも、あそこまでしっかりコーチングできる子はなかなかいないでしょうね」