現在のアークテリクスのヴィジョン
さて、筆者のノスタルジックかつ熱狂的な想いとともに話が横へとズレてしまったが、ここで現在のアークテリクスについて見ていきたい。というのも先にも述べたが、2022年は国内でアークテリクスが大きな動きを見せた年である。
3月の国内10店舗目となる直営店「二子玉川ライズ S.C.店」オープンを皮切りに、9月に「京都ブランドストア」、10月にはフラッグシップである「原宿ブランドストア」をリニューアル。それに伴い、隣には、原宿2店舗目となる「原宿バードネスト」もオープンさせている。そして10月には「東京 丸の内ブランドストア」と、今年だけで実に4店舗も新店がオープンしているのだ。
「東京 丸の内ブランドストア」のオープニングセレモニーには、本国からマーケティングを担当するアークテリクス副社長カール・アーカー氏が駆けつけており、彼に話を聞くことができた。
この出店ラッシュの背景には、アジア市場とファッション市場を重視するアークテリクスの思惑が感じられる。というのも、アジア市場、中でも日本の市場についてどのように考え、どんなヴィジョンを持っているのかと彼に尋ねたところ、ファッションシーンとの結び付きの話を印象的に語っていたからだ。
「アイテムを作る上での技術的なアプローチはもちろん同じですが、その中でも日本のユーザーのファッションへの流用は欧米にはない独自性があり、そしてそれは中国や韓国といった他のアジアの国々に対して先導的な役割も担っていると思っています。そういう面からも日本の市場は非常に重要であり、我々自身も学ぶことが多い場所ですよ」(カール・アーカー氏)