2021年中盤に待望の映画作品が公開

公開順としては、これらドラマシリーズの後になるのが、『ブラック・ウィドウ』(2021年7月)。ここで初めてフェーズ4に映画作品が登場する。ただし、MCU内の時系列としては、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年5月)の直後の出来事を描いている点には注意しなければならない。

本作ではアベンジャーズの創設メンバーでMCU作品における20年選手である女性スパイ「ブラック・ウィドウ」ことナターシャ・ロマノフの謎に包まれた過去が明らかになる。

フェーズ3まで鑑賞が済んでいれば周知の事実だが、ナターシャは『エンドゲーム』で命を落としている。今後のMCUにつながるのは、ポストクレジットシーンのみ。ナターシャの“妹”であるエレーナが、今後ホークアイ関連でストーリーに絡むことが示唆される。

最新作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』で完結。混沌とする「MCUフェーズ4」全作品のあらすじを一挙紹介!_5
『ブラック・ウィドウ』ディズニープラスで配信中 ©2022 MARVEL

これに対して、映画作品でひさしぶりにヒーローが新登場するのが『シャン・チー/テン・リングス』(2021年9月)だ。原作では「マスター・オブ・カンフー」として知られる、アジア系ヒーローが活躍する。

サンフランシスコで平凡なホテルマンとして暮らすシャン・チーは、かつて父が率いる犯罪組織で最強の武術を身につけ、組織の後継者になるはずだった。そんな過去から逃げ出したシャンだが、その父が伝説の腕輪「テン・リングス」により世界を脅かす。

これまでのMCUとは趣の異なるアクションと、家族の物語。ただし、その後シャンはMCU作品に登場しておらず、今後のMCU全体のストーリーラインへの関わりはまだ不明だ。

このように、マルチバースの登場により、やや複雑になることが予想されたMCU。社会問題を描くなど、ただのヒーロー映画に止まらず、深みを増した一方で、映画作品『ブラック・ウィドウ』『シャン・チー』では人物紹介に終始した感がある。
世界観が大きく揺さぶられるのは、フェーズ4中盤のことだ。

最新作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』で完結。混沌とする「MCUフェーズ4」全作品のあらすじを一挙紹介!_6
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』ディズニープラスで配信中 ©2022MARVEL

▽激動の「MCUフェーズ4」全作品解説(中編)
▽激動の「MCUフェーズ4」全作品解説(後編)

文/あまのなお 

最新作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』で完結。混沌とする「MCUフェーズ4」全作品のあらすじを一挙紹介!_7


『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022)
■監督:ライアン・クーグラー
■製作:ケヴィン・ファイギ
■出演:レティ―シャ・ライト 他
©Marvel Studios 2022

ヒーロー映画として異例のアカデミー賞®3冠、作品賞も初ノミネートを果たし、全世界で社会現象となった「ブラックパンサー」の待望の続編。
国王とヒーロー、2つの顔を持つティ・チャラを失ったワカンダ国に海の帝国の脅威が迫る。
ティ・チャラの妹であり天才科学者のシュリたちは、この危機にどう立ち向かうのか。
そして、新たな希望となるブラックパンサーを受け継ぐ者は誰なのか…。
未来を切りひらく者たちの熱き戦いを描いた、ドラマチック・アクション超大作が始まる。

11月11日(金)全国劇場公開
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