初等教育で深刻な親の過干渉

フリースクールとは、不登校の子供たちが学校の代わりに通う場所だ。近年は、認定されたフリースクールであれば、そこでの登校日数が学校のそれとして計算されるようにもなっている。

全国にフリースクールは数多あり、それぞれ特徴は異なる。一般的には、学校ほど勉強を重要視せず、まずはひきこもっている子供たちを定期的に外出させたり、遊びやイベントによって自主性を回復させたりすることを目指している。

すでに述べたように、フリースクールに入るには学費や親の理解が必要なので、虐待やヤングケアラーが原因で不登校になっている子はほとんどいない。これまで関西の4か所のフリースクールで、合計14年働いてきた経験のある教員は次のように述べる。

「発達障害のような子を除けば、フリースクールの生徒の中で最も多いのが、親に何から何まで束縛されてきた子供という印象があります。幼い頃から『〇〇ちゃんはこれがいいのね』『こうしたらどうかしら』『こうしたらうまくいくわ』と言われて、本人の意思が二の次にされる。

フリースクールに入る時の面接で、そうした親子関係は一瞬でわかります。職員が子供に質問をしても、親の方が先に答えるんです『うちの子は〇〇です』『〇〇ちゃん、こうだよね』と口をはさむ。子供はただ『うん』と相槌を打つだけです」

小学校をはじめとした教育現場にいる人たちにとって、過干渉の親の増加は自明のことだという。

学校の教室まで送り迎えする親、子供同士のトラブルに介入する親、子供の洋服選びから友達選びまですべてを決める親、授業だけでなく教員の言葉遣いにまで苦言を呈する親、子供の将来のためといって習い事漬けにする親……。
彼らは、このように考えることが多い。

<子供は未熟で正しい判断ができないから、親が助けてあげなければならない>。

だが、これは「助けている」のではなく、子供たちから重要なものを「奪っている」のだということに気づかなければならない。