リヴァーとキアヌが豪華に脇役共演!

トマトソース作ってる最中にうっかりお母さんが味見しちゃう小ネタなんかも楽しくてね。ちなみにお母さん、「あんな男はもっと早く殺しておくべきだったのよ」なんてのたまう、相当にブラックで豪胆なキャラ。演じているのはジョーン・プロウライト、イギリス出身で夫はあのローレンス・オリヴィエ(世界的名優、元妻はヴィヴィアン・リー)!

本作、キャストがえらい豪華なんですよ。ピッツェリアの従業員にリヴァー・フェニックス、『スタンド・バイ・ミー』(1986)のイケメン少年です。早逝が今も惜しまれる伝説的スター。後半で雇われる殺し屋にキアヌ・リーヴスとウィリアム・ハート。キアヌは説明不要かな。ウィリアム・ハートは残念ながら先ごろ亡くなってしまいましたが、『蜘蛛女のキス』(85)や『白いドレスの女』(81)など代表作いっぱい、アカデミー主演男優賞にも輝いた俳優です。ふたりとも間の抜けたジャンキーを真剣に演じてるのが実におかしい。

そしてジョーイの浮気相手にフィービー・ケイツ! このひとは当時日本でも大人気でした。なんとジョーイを演じるケヴィンとは本作公開の前年に結婚してるんです。つまりは製作者側のお遊びキャスティング、しかもノンクレジット。さらにはヘザー・グラハムも1シーン出演してますよ。こんな連中が大真面目にバカをやる。好きだなー、こういうの。

最後に主演のケヴィン・クライン。飄々として、憎めなくて、ユーモアと哀感の両方を存分に表現できる名優のひとりだと思っています。『デーヴ』(93)という大統領の影武者を演じた作品も良かったんだよなあ。

さてジョーイは結局、毒リンゴならぬ毒トマトソースパスタをたらふく食べても命には別状なく。なぜか不死身の彼は結局どうなるのか? ご興味湧いたら、ぜひ作品をご覧ください。

『殺したいほどアイ・ラブ・ユー』のとびきりおいしくて危険なスパゲティ_2

<危険なスパゲティソース>
ホールトマト 1缶(400g)
ニンニク ひとかけ
A
塩 小さじ1/2
黒コショウ 小さじ1/3
オレガノ・バジル(ドライ)小さじ1/4
赤ワイン 大さじ2
オリーブオイル 大さじ2
睡眠薬 たっぷり(決して真似しないでね!)

① ニンニクは皮をむいて木べらなどでつぶしておく。
② 鍋にオリーブオイルと①を入れて中火にかけ、香りが出てきたらホールトマトを加える。
③ Aを加えて、水分を飛ばすように煮詰めていく。仕上げにごく少量を味見をして(眠らないように!)塩コショウして味を調える。

『殺したいほどアイ・ラブ・ユー』のとびきりおいしくて危険なスパゲティ_3
キャスト勢ぞろい。左上から時計回りに、キアヌ・リーヴス、リヴァー・フェニックス、ウィリアム・ハート、トレイシー・ウルマン、ケヴィン・クライン、ジョーン・プロウライト ©AFLO

『殺したいほどアイ・ラブ・ユー』(1990)I Love You To Death 
上映時間:1時間37分/アメリカ
監督:ローレンス・カスダン
出演:ケヴィン・クライン、トレイシー・ウルマン
ピッツェリアを経営する夫の浮気に気づいた妻。母の力を借りてあの手この手で夫を亡きものにしようとするが、事態はどんどんおかしなほうに…。豪華俳優陣が奮戦する、実話に基づいた(!)クライム・コメディ。