「選ばなかった自分に対しても誠実でありたい」
――エッセイの中で、宇垣さんの「選択」に対する考え方が印象的でした。
実際、学生時代はいくつかの明確なゴールがあったのに対して、社会人になってからは仕事でもプライベートでもたくさんの選択肢があることに気付かされます。
宇垣さんは誰かを見て「これでいいのだろうか?」と不安に思った経験はありますか。
あまりないですね。もしも誰かを見て「いいな」と思うことがモチベーションになるならいいんですけど、私はすごくめんどくさがり屋なので「考えてもしんどくなるだけなら、考えるだけムダじゃない?」って思っちゃうタイプ。だから比較しないんです。
それに人は見せたいところしか見せないと思うので、どれだけ素敵に見える人でも、その人にしかわからないしんどさがあると思うんですよね。石油王も石油王で大変なんだろうなって。
――なるほど。
もともと人と比べることには興味がなく、比べる相手は過去の自分だけにしています。
でも、過去の自分の選択に対して後悔することはないですね。今の自分があるのは過去の自分が選択した結果なので、選ばなかった自分に対しても誠実でありたいという気持ちが強くて。
過去の自分に報いるためにも「選んだ道で頑張らねば!」と思っています。
――誰かと比較しないタイプなんですね。
比較はしないけど、仲間のことは気にかけていますし、違う道にいても味方だと思っています。実際、私には高校時代から仲良くしてくれている友人がいるのですが、働いてる子もいれば、子供がいる子も、結婚している子もいて、全員バラバラなんですね。だから、大人になるにつれて、その子たちの苦労が想像できないときもあるのですが、境遇が違えど味方であることに変わりはないし、きっと相手も私に対してそう思っているのを知っています。
その子たちが自分をわかってくれているから、他の人からどう思われていようと、そこまで気にかけなくていいかなと思っています。
――心強いですね。過去の自分と比べるという話がありましたが、未来の自分を想像することもあるのでしょうか?
「何歳までにこれをやらなきゃ!」とか「この人のようなお仕事をしたい!」と思ったことはありません。ただ31歳の今の私が慕っている、40代50代の先輩方は、なんだかみなさん楽しそう。
私も歳をとるごとに自由に羽ばたくような、楽しそうな大人になりたいなとは思っています。
取材・文/於ありさ 撮影/石田荘一 ヘア&メイク/岡田知子(TRON) スタイリスト/小川未久
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