30名の猛者だけが出場できる
2年に1度のレース

ここに、とある“イベント”がある。定員30名。2年に1回・8月の8日間、昼夜兼行で実施。参加者は高確率で「幻覚」を体験。主催者から、事前に参加者の家族にイベントの危険性について説明がなされる。その一方で、参加するには厳正なセレクションも行われる。
参加者の属性はほぼ、サラリーマン。平均年齢は40歳を越す。

走行距離415km、累積標高差27000m、悲鳴、絶望、幻覚……日本一過酷な山岳レースに憑りつかれた男たちとは_1
難関の選考会を突破した30名の出場者
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イベントの名は「トランス・ジャパン・アルプス・レース」(TJAR)。大会の公式ホームページの冒頭には、こう謳われる。

「烈風に晒され追いつめられる自分、悲鳴をあげる身体、絶望的な距離感、何度も折れそうになる自分の心、目指すのはあの雲の彼方。日本海/富山湾から太平洋/駿河湾までその距離およそ415Km」(一部抜粋)

聞くだに、仰天する方が、多いのではないか。「悲鳴?」「絶望?」「折れそうになる心?」

そして「415km」って何?…と。