「生命(いのち)の安全教育」の課題
――にじいろさんから見て、現時点で感じる「生命(いのち)の安全教育」の課題は何でしょうか。
前述のような「子どもからの被害の開示」があると考えたとき、教師の知識が不足しているために「セカンドレイプ」が起こることを懸念しています。
性暴力についての知識が少ない教師が授業をしてしまうと、「こういう人が被害に遭う」「こういうことをしたからこんな目に遭った」というような、「ダメ出し授業」になる可能性があるからです。
このような教え方になると、「自分が悪い」と子どもが追い込まれ、相談できなくなってしまいます。授業が始まる前に、子どもから被害の開示された時の対応を含む講習が必要だと感じています。
――これまでの性教育バッシングによって、実施に消極的な学校もありそうですが……。
文科省の通達があるのでほとんどの学校で実施されるとは思いますが、取り組みに差が出ることは予想されますね。
熱心に取り組む学校もあれば、公開されている文科省のYouTube動画を見せるだけ、スライドを読むだけ、という指導に止まる学校もあるのではないかと思います。
また、教材をそのまま使うだけでは、性、からだ、ふれあい、人間関係がネガティブな印象となってしまうのではと危惧しています。「生命(いのち)の安全教育」をきっかけに、性暴力だけでなく、人権をベースとした性教育を幅広く学んでほしいと願っています。
私の子どもの通う小学校では、去年の時点でプール授業の前に「プライベートゾーン」の話をしてくださいました。これは、前任の校長先生が性教育に関心の高い方で、「文科省からこういう通知が来ているから、しっかりやろう」と言ってくださったのだそうです。
全ての園と学校で、確実に指導をしてほしいなと思いますね。