100万円以上でも売り上げは右肩上がり。日本が誇る「等身大フィギュア」の圧倒的クオリティ_3
彩色など職人による手作業の工程も多い
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売り上げは右肩上がり

次に、自社で開発した3Dプリンターでパーツを出力し、実際に組んでみる。それを原型に型取りをして、今度は風呂のユニットバスなどに使われているFRPという素材に置き換える。堅牢なFRPのパーツで再び組んで、塗装して完成、というのがフィギュア制作の大まかな流れとなるが、制作期間はどんなに早くても半年以上はかかるそうだ。

「3Dプリントするのにも、やっぱり1分の1サイズなので、たくさんのパーツにも分けて出力しなければなりません。例えば、私たちが過去に制作した初音ミクの等身大フィギュアは150パーツくらいあります。プラモデルのように一つひとつ組み上げていきます。型取りがしやすいように、あまり複雑な形状にならないように工夫をしなければなりません。FRPで組んだときも塗装しやすいように表面をツルツルに研磨する必要がありますし、彩色も完全に手作業で職人の繊細な技術が求められます」

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3Dプリンターでパーツを作る
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デザインココでは、ひとりのディレクターがCG、削り出し、3Dプリント、型取り、磨き、彩色などの各部門のスタッフを統括し、総勢30~40人のチーム態勢でひとつの等身大フィギュアを制作していく。原型と彩色の段階でキャラクターを管理する、クライアントである版元にチェックを受ける。

「例を挙げると、集英社さんの作品で等身大フィギュアを制作したのは漫☆画太郎先生のババアですね。完成した等身大のババアを先生のご自宅にお届けしたんですが、すごく喜んでいただけました。

また2012年に六本木ヒルズで開催された展覧会『尾田栄一郎 監修 ONE PIECE展~原画×映像×体感のワンピース』で、投獄された(登場キャラクターの)エースの等身大フィギュアを制作しました。そのときには尾田栄一郎先生の直接の監修でしたが、ありがたいことに一発でOKをいただきました」

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展覧会で制作されたエースの等身大フィギュア
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ババアの等身大フィギュア

同社では、等身大フィギュアの売り上げは右肩上がりだという。最新の3D技術と職人の技で生み出す“メイド・イン・ミヤギ”の等身大フィギュアは国内のみならず、世界でも大きな注目を集めている。

「一昔前はアニメや漫画のフィギュアは、男性のアニメ好きの方が購入するケースが多かったのですが、昨今は状況が全く違います。女性の購入者も多いですし、アニメやフィギュアが日本国内では今やかなり一般的なものとして受け入れられています。

世界では日本の代表的な文化として捉えられているのかなと感じています。北米やヨーロッパでも人気がありますし、最近は中国での売り上げがかなり伸びています。過去にルイ・ヴィトンとコラボした初音ミクの等身大フィギュアを作ったことがあるのですが、それはルーブル美術館でも展示していただきました。欧米では等身大フィギュアはアートとしての文脈も大きくなってきています」