韓国に完敗続きの日本

一方、日本の防衛産業はどうだろう? スマホやEV、半導体といったハード、K-POPや韓ドラといったソフトなどの輸出が好調な韓国に比べ、日本はいささか元気を失っているかのように見える。携帯電話しかり、コンテンツしかり、メイド・イン・ジャパンは韓国製に世界でのシェアで後れをとり始めている。

たとえば、携帯電話はサムソン電子のGalaxyシリーズがアップルのiPhoneを抜いて世界1位だ。その一方で、日本メーカーはトップ10にランク入りすらしていない。それと同じことが防衛産業にも起きているというのが私の評価だ。

韓国の兵器産業は単独でオリジナルな武器を製造して市場を開拓するというより、コアな軍事技術を複数の提携する外国軍事企業から導入して開発費を抑え、それらの最新技術を統合させてひとつの兵器を生み出す「ビルドアップ能力」に長けている。

また、市場の分析も巧みで、輸出先国のニーズに合わせてハイエンドからミドルレンジまでの武器を開発することがうまい。

では、日本の防衛産業はどうか。兵器売買=「死の商人」であるかどうかの議論は別の機会にするとして、2014年に安倍政権がそれまでの「武器輸出3原則」を「防衛装備移転3原則」へと変えたことで、今では一部の武器輸出は可能となっている。

にもかかわらず「MADE IN JAPAN」の兵器は2020年8月にフィリピンが警戒管制レーダーを購入したのが目立つくらいで、めぼしい商談は成立していない。「防衛装備移転3原則」でも輸出は「救難」、「輸送」、「警戒」、「監視」、「掃海」の5任務に限るという制約があるとはいえ、防衛装備の輸出ビジネスは韓国に完敗していると言えよう。