保護者の財布をあてにしないで

業者の側にも考えてほしい。この国では「義務教育は、これを無償とする」と憲法で謳っておきながら、戦後80年近く経つ今も教育予算は非常に乏しく、学校教育に必要な費用の多くを保護者が負担している。

保護者たちは、小学校なら算数セットに鍵盤ハーモニカ、書道セットに体操着、上履き等々の教材を購入し、中学校なら制服の夏服冬服、ジャージ、体操服、運動靴等々を揃えねばならず(買い替えが必要になることもある)、そのほかに給食費を払い、修学旅行の費用も積み立てている。

これらに加えてPTA会費も納め、多くの場合、この会費からも学校に対して「寄付」が行われているのが実状だ。

これ以上、保護者の私費をあてにしないでほしい。個々の保護者が利用を選べるサービスならいいが、そうでないものは公費など、保護者の財布以外から提供する方法を考えてもらえないだろうか。

付け加えると、PTA会費を払っているのは保護者だけではない。いまも多くの学校では、教職員もPTAに自動加入させられている。自分たちのポケットマネーが学校への寄付にあてられている現状に疑問を抱く教職員は多い。

もし、これまで保護者が行ってきた活動を代行サービスに頼み、その費用を教職員も負担することになるのであれば、不同意の声も当然あがってくるだろう。

保護者も教職員も、もう我慢するのはやめにしたい。賛同できない活動があるのなら、そのように意見して、労働力やお金を黙って差し出すことをやめてもらえたら…。

根本の問題を解決せずに先送りして、その場をやり過ごすだけのやり方を今後も続けるのなら、我々の子どもの代はもちろん、孫の代になっても、PTAは、この社会は、変わらない。