価値観を更新させられる、娘たちからの言葉

「家族をバンドや劇団に置き換える」マキタスポーツに聞く“老害おじさん”にならないための処世術_04

――マキタさんは、若い世代から指摘されて、初めて自分の一面に気づいた経験はありますか?

家族とのやり取りの中ではありますね。まさか自分が老害化しているなんて思っていないですから。うちは長女、次女、歳が離れた双子の男の子がいるんです。どうしても男の子をしつけるときに「泣くんじゃない、男だろ!」みたいなことを言っちゃうんです。そうすると、娘から「はい出たー! 男だろうが、女だろうが関係ないんだよ」なんて言われます。

僕は男性中心のホモソーシャルな世界で当たり前に生きてきたので、ポロンと、そういう発言が出ちゃうんですよね。問題意識のあり方が、ちょっと違う。そこに気づく感性や観点が必要とされてきていることはわかるんですけどね。

一番身近にいる若い世代の娘たちから、新たな問題意識を提示されて「ああ、そうか」と気づかされることは多いです。

あと妻や娘たちから「パパは表情がないね」と言われるんです。「街を歩いているおじいちゃんを見てごらん。難しい顔をしてるでしょ。でもおばあちゃんを見てごらん。梅の木なんかを、ニコッとしながら見てるよね」って。

つまり、女性の方がにこやかに、しなやかに社会や事象に接していたりするということ。男の人はやっぱりね、滅多に笑うもんじゃないみたいな感じで思ってるんですかね。

難しい顔をしているつもりはないけれど、「パパは人より笑ってなくちゃダメなんだよ」と言われています。

――価値観や意識の更新を日々されているんですね。

ただね、やっぱりループおじさんなんで。気がつくと自分の安心・安全なルーティンに戻りたがる傾向はありますよね(笑)。