言葉と行動が一緒とは限らない
――恋愛をせずに結婚した拓也と莉香がメインとなる本作を通して、松村さん自身の結婚観への変化はありましたか?
世の中的にも言われていますけど、結婚の形が多様になったなということは感じました。それからそれぞれが個人を大切にしながら、誰かと一緒にいることを選ぶというのが素敵だなと。
――なぜ、そう思ったのでしょう?
この作品の中で拓ちゃんと莉香さんは「計画結婚」という形を取りながらも、ちゃんとお互いのことをわかり合おうと、たくさん話をするんです。そういう姿を見て、結婚に限らず仕事や人間関係においても、誰かを思って何かをすることの大切さを改めて感じました。
――なるほど。
それから“自分ファースト”についても考えました。
拓ちゃんと莉香さんと同じように、上京してきてからずっと1人暮らしなので、自分の家に誰かがいるって想像がつかなくて。私的には、自分の生活リズムとか、こだわりってそこまでないつもりですけど、そればかりはやってみなきゃわからないですよね。どうなんだろう。
――ナオは幼馴染の拓也に好意を寄せている役ですが、ナオを通して考えたことはありますか?
私の中では、正直ナオも恋愛ではなかったのかなと思うこともありました。
このあたりは見ている人の解釈ですし、濁していた方がいいんじゃないかなとも思うのですが、ヤキモチを妬くのは恋愛じゃなくて幼なじみとしての気持ちからなのかなって。
――なるほど。
ただ、監督と何度も話していく中で、言葉じゃ表せない感情もあると思うようになりました。恋愛とも、幼馴染の感情とも言い切れない感情があるなって。
ナオが「拓ちゃんと莉香さんには幸せになってほしい」と思う気持ちも、なんとなくモヤモヤしている気持ちもどちらも本当でいいんですよね。白か黒かハッキリさせない微妙な感情があってもいいのかなと。