パブロフの犬のように「このシーンが来るたびに泣く」みたいなことはあります(笑)

――原作も映画も涙を誘う切ない展開が印象的ですが、小説を書いている段階から「泣ける」ことを意識して書いていたのでしょうか?

基本的に僕は、自分がおもしろいと思うお話を書いているだけ。別に読者を「泣かせてやろう」なんてことはないんです(笑)。ただキザな言い方をすると、脚本家になりたいと思った中学生の頃の自分がこの物語を読んで心が動くかどうか。その1点を意識して書いている気がします。

泣けることが正しいとも思っていませんしね。読んでくださった方の心に引っかかる一文が書けたらいいなと思っています。

ただ、僕自身は推敲する中で何度も読み返すので、パブロフの犬のように「このシーンが来るたびに泣く」みたいなことはあります(笑)。自分自身が感動するものでなければ人の心を動かすことはできませんからね。自分の心や体が反応するかどうかも、感動する物語を書くための一つのバロメーターにしている気がします。


――『桜のような僕の恋人』以外にも、多くの恋愛小説を手がけていますが、作品を書く上で、こだわっていることは?

実は恋愛でお互いのことが好きとか嫌いとか、恋が成就するかどうかは意外と重要視していません。もちろん、作品を書くときは推進力として奇抜な設定を入れ込むこともありますが、それよりも大事なのは人間をしっかりと描くこと。恋愛を含め、登場人物たちが抱えている問題やトラウマをどう乗り越えるのか、どう克服したり受け入れたりするのかといった過程を丁寧に描くことで、物語が立ち上がってくる気がしています。

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【作品ページ】桜のような僕の恋人

撮影/石田壮一 取材・文/松山梢