東京駅の支配者、グランスタとは?

引き続きダンジョンを散策していると、関係者専用扉の以外立ち入り禁止のドアノブに暗証番号錠がありました。

迷宮化する東京駅地下ダンジョンを徹底探索!「八重洲」の語源はオランダ商人「ヤン・ヨーステン」だった⁉_6

まさかダンジョンの秘宝がこんなところに⁉ なんとか解読して奥に進まねば! と思いましたが、関係者専用ドアの鍵をガチャガチャといじっていたらどう考えても不審者。捕まりかねないので諦めます。きっと秘宝は別のところにあるはず!

ちなみに、錠には「KEYLEX」と刻印されています。これは長沢製作所のボタン錠ブランド「キーレックス」。同ブランドは1981年に国内初の機械式ボタン錠「キーレックス1000」として誕生し、いまや国内外の公共交通機関でのドアセキュリティーの要として活躍しています。

赤ちゃん連れ用トイレの自動ドアも「しらべる」をしておきましょう。

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製品は寺岡オートドアのものです。同社は電子はかりの名門、寺岡精工から独立した企業で、1962年に国内初の純電気式自動ドアを開発したという素晴らしい実績を持っています。

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各分野で草分け的製品をつくった企業に発注するとは、東京駅はなかなか粋です。まあそんなことを調べても、ダンジョン攻略の糸口になるわけではありませんが、クセなので許してください。

東京駅一番街を抜けると、大丸東京店やグランルーフ、グランルーフフロントといった、地上から地下へ貫かれた百貨店、ショッピングモールエリアが立ちはだかります。それにしても、「グランスタ東京」「グランスタ八重北」に続き(丸の内口側には「グランスタ丸の内」もある)、東京駅は“グラン”ブランドが幅を利かせています。

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調べてみると、グランスタの運営会社はJR東日本クロスステーション。昨年誕生した社名ですが、元をたどれば、東日本キヨスク株式会社としてスタートしたのが最初だそうで、「あの売店が…⁉」と驚かされます。もちろん、キヨスクが成りあがって東京駅を牛耳るようになったわけではありませんが。

これらも抜けると、いよいよ「八重洲地下街」、通称「ヤエチカ」です。ここからが東京駅地下ダンジョンの本丸といってもいいでしょう。ヤエチカはとにかく広い。延べ面積は約6万4800平方メートルで、東京ドームの約1.5倍。うち3分の1は駐車場ということですが、売場面積だけでも地下街では大阪のクリスタ長堀に次いで日本2位の広さ。

ちなみに、八重洲の語源は、1600年、豊後(現在の大分県)にオランダ商船リーフデ号で漂着し、徳川家康の信任を得て外交や貿易アドバイザーとして活躍したヤン・ヨーステンだったといわれています。彼のお屋敷がこのあたりに位置し、転訛して「ヤン・ヨーステン」→「ヤヨス(八代洲)」→「ヤエス(八重洲)」となったんだとか。

この広大な敷地がすべてヤン・ヨーステンのお屋敷だった? わけではないと思いますが、もしかしたら彼が残した秘宝がこのヤエチカエリアのどこかにあるのかも……⁉

とにかく、ここを攻略しないことには東京駅地下ダンジョンを制覇したことになりません。すでに、歩き疲れている筆者は意を決して、ヤン・ヨーステンゆかりの魔窟へと進むのでした。

前編はこちら>>>迷子必至。増設続きでダンジョン化が止まらない東京駅地下を歩く