ディレクターマインド
――そういう状況の中で、いまアナウンサー、あるいはテレビ局を目指しているという学生にアドバイスがあるとしたら、どんなことでしょう?
伊藤 今日のメインテーマはそこですよね。
佐野 後編の半ばを過ぎて、やっと来たという感じだね。よしっ! それじゃあ、ラストスパートといきますか?
伊藤 すみません。お待たせしました。
――よろしくお願いします。ではまず、アナウンサーになるために必要な要素があるとしたら、それはなんでしょうか?
佐野 まずはテレビが好きな人。次がテレビを何とかしたいと思っている人だね。
伊藤 イノベーティブな人かな。『めちゃイケ』だって発明だったわけですよ。あれだけテロップでツッコミを入れるとか、大枠のストーリーがある中で、もう一方では自由演技があるとか。画面に出てしゃべるだけじゃなくて、そういうモノ作りが出来る、モノ作りの一員になりたいと思う人に、ぜひフジテレビに入ってきてほしいなと思います。
佐野 昔のフジテレビは、そういう先輩たちがいっぱいいたし伝説もたくさんあるからね。『プロ野球ニュース』でいえば、バットがボールに当たる瞬間カキーン!という音をつけたとかさ。
伊藤 ディレクター的なマインドを持った人の方が、同じ仕事をしていても楽しいと思えるし、絶対に伸びる。
佐野 う〜ん。
伊藤 どうしました、佐野さん!? お腹を壊しちゃいました?
佐野 そうじゃなくてさ、俺も伊藤も、もっともらしいことを言ってるけど、全部後付けみたいなもんでさ、本当は答えなんかないんじゃないかって。伊藤のようなアナは、伊藤ひとりで十分なわけだし、同じタイプは成功しない。違うから面白いわけで。そう考えると、やっぱり答えはないんだよなぁ。
伊藤 確かに。もしかしたらそんなにテレビは好きじゃないというところからスタートした方が、そこから何かが生まれる可能性だってあるし。YouTubeの動画を作っている人がテレビの世界に入ってきたら、そこから違うものが生まれる可能性だってあるだろうし。
佐野 その事で言うと『めざましテレビ』が終わった後に、後輩たちがYouTubeを撮ろうって、みんなわーわー、きゃーきゃー言ってて、楽しそうにしているのを見ると、時代は変わったなと思うね。
伊藤 いいと思いますよ。地上波テレビだけじゃなくて、配信も含めていろんなコンテンツがあるんだから。6月に、バラエティの黄金期を作った港さんが新社長になって、もう一回弊社は、モノを作る会社だと言うことを強く掲げています。そのソフトを送り出すのは、必ずしも、地上波だけじゃなくて、アウトプットのプラットホームの多様化という流れもありますから、テレビ放送だけではなく、いわゆるコンテンツを作りたいというメンタリティのある人、そしてやはりしゃべりの上手い人に入って欲しいと思います。