欧米とアジアではマスクの着用基準についての温度差があって、欧米は比較的緩やかだといわれている。だが、ハワイではマスクを重視する日本人をはじめとするツーリストに配慮しているのだ。それに入店前の消毒やソーシャルディスタンスを保つための表記なども、日本と変わらない。こうして日本人の回帰を待っている。

「取材先でも、日本人はいつ戻ってくるの? とよく言われましたね」(原さん)

いちばんの苦労はやはり、観光客にはおなじみのアラモアナセンター内をはじめ、店がずいぶんと変わってしまったこと。日本人向けの和食フードコートや、日本人経営のショップやカフェなども撤退したところが目立つ。

「2020~21年版と比べると、今回最新版の2023~24年版では3分の1の店情報を入れ替えました。それでも、新しい店がどんどんできているので本全体のボリュームは変わらなかったのが、ハワイの底力ですよね」(日隈さん)

日本人向けショップ続々撤退のハワイは今? 2年ぶり復刊の『地球の歩き方』編集室に聞く_3
炎天下の中、ひたすら歩いて地図チェックをする原さん。なくなった物件の差し替えがなによりたいへんだった(写真提供:『地球の歩き方』編集室)

そして受け入れる側でも、コロナ禍を経て変わったことがある。人気の観光地であるダイヤモンドヘッドやハナウマ湾自然保護区では、オンライン予約システムを取り入れて入場者を制限し、自然を守りながら密にならないようにしているという。ウミガメの観察は3メートル、イルカは45メートル離れるというルールを作るなど、海洋生物を守り、自然を見つめ直そうという考えも広まってきた。

「コロナ禍で旅行者が減ったことで、ハワイの海はこれまでよりさらにきれいになったんです。それをキープして、サステナブルな旅先に、という取り組みが進められています」(日隈さん)

また移動の面でも「よりエコに」とハワイ州政府観光局ではシェアサイクルを推奨。ワイキキ周辺だけでも100か所以上のポートがあり、旅行者のアシになってくれる。そんな情報も最新版の『歩き方』には盛り込んだ。

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ハワイではシェアサイクルが推奨されている(写真提供:『地球の歩き方』編集室)