2024年パリ五輪

――2024年パリ五輪に向けた戦いは、もう今年から始まるんですね。

今年12月から予選が始まるので、自分がどこまでできるのか挑戦したい。12月の全日本に勝って、来年6月の明治杯に勝って、世界選手権で3位に入ればパリ五輪への出場が決まります。

レスリング・川井友香子のパリ五輪に向ける強い 思い―「私のことを応援してくれている人は間違いなくいる」_5

――今年6月の明治杯では大学生の尾崎野乃香選手(慶應大)に決勝で敗れ、世界選手権出場を逃しました。友香子さんが出なかった昨年の全日本選手権で優勝し、ポスト友香子の筆頭に挙げられる選手です。

強い選手というのは以前から知っていたし、強い選手はほかにもいっぱいいます。今回の結果は、私の心理状態がもろに出た試合だったのかなあ、と思います。本気じゃなかったわけじゃないけど、無意識のうちにオリンピックで優勝して注目されて、今まではチャレンジする側だったのに、みんなが私を倒そうとしてくる……なのに守りに入ってしまった。
吉田沙保里さん、伊調馨さん、姉の梨紗子がオリンピックで連覇していますが、それがすごく難しいことを自分が金メダルを獲って改めて実感しました。自分がその立場になるのとならないのでは全然違います。

――いまのレスリング界は、対戦相手の研究もすごく進んでいる。友香子さんは当然、国内だけでなく海外の選手からも徹底して研究される存在です。

私も試合前、相手の映像を集めて研究しますけど、戦っている時はそういったことは考えないんです。それと私のレスリングは普通すぎて、研究したところでわかんないでしょう。私は、強みがないけど、梨紗子に「逆にそれが強みなんじゃない」と言われて、そうだと思いました(笑)。

――こうして聞いていると、やはりお姉さんの存在は友香子さんにとって大きいんですね。嫌かなと思って、あえてお姉さんの話は聞かなかったのですが(笑)。

姉の存在……昔は気にしていました。でも今は、私もちょっとは自信がついたので、(比較されたりするのが)昔ほど嫌ではなくなりました。梨紗子は出産して、子育てをしながら最近もう練習も始めていて、本人にしかわからない苦しいこともあるはずだけど、そういう弱音は見せません。どこまでも先を行く人なんだ、と尊敬します。

――友香子さんは、その梨紗子さんより負けず嫌いだと定評がある?

私は負けん気が強いと言われる、それがあっての私ですから、直そうとか思いませんが(笑)、負けず嫌いだけど人の意見も聞く人間でありたいと思います。大学生のころはもっと負けず嫌いを表に出してキーキーしていた。25歳になって、ずいぶん柔軟になったとは思います(笑)。

レスリング・川井友香子のパリ五輪に向ける強い 思い―「私のことを応援してくれている人は間違いなくいる」_6

――試合に向けて、もうストイックなモードに入り始めたと思います。今はどんな生活、食事などはどうしているのですか?

名古屋にいるときは私がタッパーを用意して、(至学館の)寮に寄って好きな料理を詰めて、自宅に戻って食べています。野菜とタンパク質はちゃんと摂る。パスタとか、簡単なものを自分で作ることもあります。外食はあまりしません。なるべく食事はちゃんととるようにしています

――あっという間にパリ五輪に向けた戦いが始まります。ここからの試合予定は?

全日本の前に試合を1つはさみたいですね。10月の「女子オープン」に出たいのですが、コロナ禍の影響でどうなるかまだわからない。もしもなければ12月、ぶっつけ本番ですね。6月の試合は自分が最後まで勇気を出しきれずに負けた。勇気を出せない悔しさが大きいので、とにかく勇気を出して、チャレンジャーの気持ちで戦いたいです。

――世間やメディアは勝手なもので、尾崎さんという新鋭に期待する声も聞こえます。そこはどうですか?

私のことを応援してくれている人は間違いなくいる。数の勝負じゃないので、そこは気にせずいたいなと。

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取材・文/小林信也 編集/星山江里可 撮影/神田豊秀 ヘアメイク/榎田茉季 (ROI) スタイリスト/伊藤あかり