3つの受け取り方で一番お得なのは?

受取方法は年金形式と一時金形式、もしくは両方を利用、の3択となっており、受け取り方によって課税方法も変わります。

先に言っておくと年金形式で受け取るとあまりメリットはありません。理由としては、年金形式で受け取る場合、公的年金等控除を利用できますが、その名の通り公的年金に利用する控除のため、多くの方は公的年金で控除を使い切る可能性が高いからです。

65歳以上の方の場合、公的年金等控除は110万円です。言い換えると年金額が110万円を超えている人にとっては、iDeCoを年金受け取りした場合の控除は0円ということになります。

また年金形式で受け取ると毎年の所得が増えることになり、所得で計算される健康保険料なども増えるためハッキリ言って良いことがありません。ですので、iDeCoを利用するなら一時金で受け取る方が賢明です。

あまりメリットのない年金受け取りに対して、一時金受け取りは控除額がとても多いという特徴があります。一時金で受け取る際は退職所得に分類され、退職所得控除という控除を利用できます。

会社に退職金がある人は少し計算がややこしくなるので割愛しますが、退職金がない人は簡単に退職所得控除を計算できます。

iDeCoの拠出期間が20年以下の場合は、40万円×「iDeCoの拠出期間」が退職所得控除額です。もし、20年以上iDeCoを拠出する場合は21年以降は控除額が40万円ではなく70万円に増えます。

仮に30年間iDeCoを拠出した場合の退職所得控除額は以下の通りです。

20年間は40万円の控除のため、40万円×20年
21年目以降は70万円控除のため、70万円×10年

合算すると1,500万円となります。つまり、控除が1,500万円ですのでiDeCoの元利合計が1,500万円以下であれば税金は発生しないということになります。

このように受け取り方によって税額は大きく変わる点をよく理解しておきましょう。iDeCoの税優遇は入り口と出口の両方を活用できてこそ。入り口だけでも税の繰り延べ効果などもありますが、やはり両方使えてこその税優遇だと思います。