性犯罪の再犯率は非常に高い

少年院で性非行防止に関わる法務教官は次のように話していた。

「不良タイプの少年であれば、悪い人間関係から引き離して、相手を思いやる気持ちや道徳観を植えつければ性非行に及ぶことはほぼなくなります。一方、性非行がトラウマを乗り越える手段となっているタイプの少年は、非常に立ち直りが難しいと感じています。彼らにとって性非行が生きる術になっていますし、思春期の強い性衝動と一体になっているので、認知行動療法などを行ってもなかなか改善が見られないのです」

実際に性犯罪の再犯率は成人も含めて高く、全再犯のうちの7割を性犯罪の再犯が占めているという統計もある。その背景には、単なる性衝動だけでなく、それ以外の理由が複雑に絡み合っている現実があるのだ。

性犯罪は、「魂の殺人」とも呼ばれている。

被害者の精神をズタズタに切り裂き、一生残る傷を与えるどころか、時と場合によっては文字通り死に追いつめることさえある。そんな犯罪を減らすには、罰を与えるだけでは限界がある。加害者が抱えている心の闇に光を当て、絡み合っている問題を1つ1つ解いていくことが求められるのだ。

それを実現するには、更生に携わる側だけでなく、社会の側も性犯罪が何たるかの理解を進めていく必要があるだろう。

取材・文/石井光太

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