必ず必要なもの、カスタマイズするもの

台風、水害、地震、津波など、想定される災害の種類は多岐にわたる。そして、自宅、避難所、車など、どこに避難するかによっても必要なものは変わってくるが、「最低限、必要なものは変わらない」と紗栄子さん。

「必ず準備しておいてほしいのは、お水と食料。そして、普段からぜひ持ち歩いてほしいのが携帯用のトイレキットです。特に都心部で生活をされている方の場合、災害時に断水になってしまうとお手洗いがあふれかえってしまう可能性があります。トイレ問題は、阪神・淡路大震災のときに大きな問題になりました。

お手洗いが使えないストレスは尋常ではありません。今は囲いを作れるものや、緩衝材が入っていて音が出ないものなど、いろんな種類があります。事前にシミュレーションをしてみて、自分に合うものを備えていただきたいです」

「Think The DAY」でも防災セットを販売しているが、特に紗栄子さんがこだわったのは、パンパンに物資を入れずに余白を作ること。それぞれがカスタマイズし、自分に合った防災セットを完成させてほしいと訴える。

「日本人は災害時でも甘えないで我慢しがち」防災士・紗栄子が訴える、備蓄と助け合いの重要性_03
「Think The DAY」の防災セット。販売による利益はすべて支援活動に活用される

「女性ならば生理用品、持病がある方は常備薬も必要ですし、視力が悪い方はメガネやコンタクトも。下着や靴下、入れられるのであればTシャツやパジャマのような着替えも準備しておけるといいですね。アレルギーがある方は、アレルギー対応の非常食も用意したいところです。

あとは保険証のコピーと、自分が話せない状況になってしまった場合のための個人情報。緊急連絡先の住所や電話番号などもメモをして、防災セットのポケットに入れておいてください。充電がなくなるとスマホも意味をなさなくなってしまうので、電子マネーなども使えません。現金を用意しておくと安心だと思います。

『Think The DAY』の防災グッズにはサイズの問題で入れることができませんでしたが、靴も必ず自分で用意していただきたいアイテム。地震や台風の被害の場合、急いでいるととっさに裸足で外に出てしまうことも。被災地では私自身、足の裏が傷らだけになった方たちをいっぱい見てきました。ビーチサンダルのようなものではなく、できれば足をしっかり覆うことができる、サイズの合ったものがベスト。防災バッグの中はもちろん、なんならベッドサイドにも常備しておいてほしい大切なアイテムです」

さらに、数多くの被災地支援をおこなってきた紗栄子さんが「あると安心」と語るのが、不安な気持ちや緊張した身体を和らげるケアグッズ。

「日本人は災害時でも甘えないで我慢しがち」防災士・紗栄子が訴える、備蓄と助け合いの重要性_04
持参したアロマオイルでマッサージをする紗栄子さん

「2020年7月の豪雨災害で熊本県の避難所を訪れたときに、すごく歩きにくそうにされているおばあちゃんがいたんです。足が辛そうだったので少し触らせてもらい、自分が持っていたアロマオイルを使ってマッサージをさせていただきました。するとみるみる血色が良くなり、表情も明るくなっていったんです。

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上記の防災セットだけでなく、普段からカバンに入れて持ち運べる簡易防災セットも用意。トイレシートやCBDオイル、除菌スプレーや寒さをしのげるレスキューシートが

その出来事をきっかけに、『Think The DAY』の防災グッズにもラベンダーの香りのCBDオイルを加えることに。天然成分由来なら、おじいちゃんおばあちゃんはもちろん、お子さまにも使えます。気持ちや身体を和らげる、ご自分に合ったケアグッズを用意できると安心だと思います」