どこで何をしていてもリスクはあるから…
――2020年のコロナ元年は多くのフェスが中止になりましたけど、その期間も開催し続けられたのは、ニューアコくらいでしたね。
そうね。もう1個ぐらい、あった気がしたけど。RUSH BALLかな。
――ニューアコは、どんな状況でも自分を律することのできる人が多くて、参加者のモラルがコロナ禍でも継続できた理由の1つなのかなと思っています。TOSHI-LOWさん自身、震災やコロナ禍以前から、「いつ死んでもおかしくない」という意識があったと話していました。そういうTOSHI-LOWさんの生き方とニューアコのあり方は通じていて、そこに危機を生き延びる強さの理由があるのかなと。
どこにでもリスクはあるし、イベント中の天災とか、来る途中で交通事故に遭う人もいるかもしれないわけだから。コロナで亡くなるっていうことだけが、亡くなる理由じゃないし。だとしたら、「じゃあ今年、何がしたいですか?」っていう問いかけになりますよね。死ぬまでに、何をするか。もっと音楽を聴きたかった、フェスに行きたかった、楽しみたかったっていうことがあるとしたら、ニューアコはその選択肢の1つなんですよね。
だから、コロナ禍でやれるフェスを作ったというより、選択肢の1つとしてオープンしておきたかったっていういう気持ちがあった。あとは、どうするかを選んでくれればいい。この店は入りたくないと思えば、入らなきゃいいわけだから。
ただ、大型フェスよりも柔軟な状態を作りやすかったっていうのはありますね。参加人数も少ないし、自然の中で開催しているし。それに大型フェスみたいに企業化していないので、いろんなことがすべてにおいて減らしやすい。企業が関わってくると、その動員数では収益が上がらないから無理に人を入れなきゃとか、やめないといけないっていうことになるわけで。収益の縛りで後戻りできない巨大なフェスではないから、できたことだと思う。