参加者と一緒に歳を重ねていくフェス

――敷居が高いということが結果的に子ども連れだったり、ロックフェスに行きづらい人にとっても優しいフェスになっていますよね。

若くて体力があれば、大型のロックフェスでガンガン遊んでりゃいいと思う。でも、そういう子どもたちとも、どうやったら共存できるかなっていうことを考えてきたから。

もともと自分たちも子どもがいたわけじゃなくて。参加者と同じ歳のとり方をしながら、楽しめる方法は何かっていう育て方をしてきたフェスなんですよね。ここはこうなってたほうが子どもには安全だよねとか、ライブを観ていない間に、子どもたちがどうやって遊んでいられるか、とか。

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それはブラッシュアップとはまた違って、自分の家をリフォームしていくみたいな感覚。枠もやりたいことも決まっている中で、新しい何かを入れるのではなく、どういうふうに変えていったらいいかな、みたいな。

だから、この先もあると思ってる。たとえば、子どもたちが出て行ったら子ども部屋はいらないじゃん。そうなったら、また違うリフォームが入るのかもしれない。最終的に老人しか来なくなったら、デイサービス付きで観られるフェスにしたっていいし。そしたら、サニーデイ・サービスに出てもらって(笑)。

――(笑)。自分の家っていう感覚だから、居心地がどんどん良くなっていくんですね。

その感覚って、ほかのフェスも一緒で。たとえばフェスのゴミ問題ってあるけど、自分の家とか庭に、ゴミ、捨てないでしょ? 人んちだから平気で捨てるわけであって。家に泥だらけで上がらないだろうし。そんなことしたら、結局は自分がイヤになっちゃうわけだから。そういう話にもつながってくると思いますね。