ヤンキー&強面受け・鹿嶋の顔を巡り、戦いが勃発!?
――『簡ロマ』の鹿嶋(幸)はまさに“ヤンキー&強面受け”ですが、本作の「顔フェチ不憫イケメン×ドM野獣ヤンキー」というキャラクター設定がどのように生まれたのか教えてください。
担当 お二人が一緒に作品を手掛けることが決まったあと、ネタ出しした案の中から決まりました。とはいえ最初から「イケメン攻め×ヤンキー受け」の設定とフックをつけるために「攻めが顔フェチ」の設定は決まっていましたね。
瀬森 その基本設定をもとに上がった案は3つ。「高校生同士」「カワイイわんこ系の高校生×端正な顔立ちの高校教師」「ゲイのふりをしているノンケ×バイのふりをしているゲイ」でしたね。
赤原 この中で一番描きやすそうだったのが最初に案を出した「高校生同士」だったので、それを採用した感じです。
瀬森 今でこそ攻めの真田(亮司)は甲斐甲斐しい良い子ですけど、最初はすごく性格の悪いキャラクター案を出していて。「性悪×ヤンキー」にしようと思っていたんです。でも真田が当初の想定以上に鹿嶋の顔が好きだろうなと考えて、良い子に変わりました。1巻1話では、まだ性悪の名残がありますね〜。
――キャラクターのデザインについてはいかがですか?
赤原 基本的には瀬森先生の指定でキャラクターデザインをしています。鹿嶋の銀髪オールバックと真田の茶髪もその一つです。「こんな感じでどうですか?」と、絵を描いたときに聞くくらいですね。
瀬森 「一匹オオカミ的なヤンキー」「銀髪」「威嚇のために強面の顔を出しているとより厳つさを感じる」とかなり指定していました。完全に私の趣味です(笑)。
赤原 鹿嶋の顔に関しては、ちょっとした戦いも勃発しました。私は、鹿嶋はドMなのでいっぱい顔に傷をつけてもいいと思っていたんですよ。私がキャラクターの顔面に興味がなかったばかりにリアル寄りの作画にしようと。そしたら担当さんが「もう少し控えめだと嬉しいな……」って(笑)。
担当 顔面がボコボコに腫れているレベルで傷をつけられていて(笑)。BL作品ですし創作物なので、2ページ後には痕がちょっと残っているくらいがちょうどいいんですよね。そこは「もう少しだけ、控えめがいいです」と何回も直してもらいました。
――真田のキャラデザについてはどうでしょう。
赤原 真田は正統派のイケメンとしてデザインしたのですが、絶妙に難しくて描き慣れるまでに数年はかかりました。鹿嶋は「短眉」「まぶた重め」「唇が薄い」などの特徴がありますが、真田は分かりやすいフックのある顔ではないんですよね。つり目になってもたれ目になっても印象が変わってしまう。雑誌掲載前に作画修正して、コミックス掲載時にまた作画修正して……と一番顔を直しているのが真田です(笑)。
担当 4巻あたりで、キャラクターの首がすごく太くなった時がありましたよね(笑)。
赤原 ありましたね(笑)。私は鹿嶋をマッチョに描きたいのですが、そうすると攻めの真田もマッチョに描かないと違和感が生まれてくるんですよ。私自身、体の薄い人を描くのが苦手で筋肉モリモリに描きがちなので……。その結果、どんどん少年漫画のキャラクターのようなガタイになっていくという(笑)。さすがに4巻の時は修正が入りましたね。
担当 全員筋肉質なキャラクターが好きなので、際限がなくなっていくんですよね(笑)。たださすがに4巻の時は体ががっちりしすぎたので「これはさすがに……!」と修正していただきました。
――筋肉質なキャラクターが好みとなると『簡ロマ』の番外編『理性的パーバートロマンス(以下、理ロマ)』メインキャラクターであり、『簡ロマ』にも登場する(嘉久)直人はみなさんの好みが反映されているような……。
担当 『理ロマ』も最初は2パターンの受け案を出していただいていて、1つは直人バージョン、もう1つは耽美でキレイめなバージョンだったんです。ただ後者にすると『簡ロマ』の2人と絵面が若干似ると思い、全く違うタイプの直人にしてもらいました。それで体の大きな受けなら柔道をやっている設定にしようと。
赤原 『理ロマ』の方が性癖が出ているかもしれません。ここは瀬森先生との性癖の一致も感じます。直人を描いていると「カワイイ! エッチだね!」と物凄くはしゃいで、ただのオタクになっちゃうんですよね(笑)。
瀬森 そうですね。直ちゃんを前にすると「直ちゃんのエッチな顔が見たい……」という願望に頭が支配されてしまいます。