不登校を経験した鶴田代表の想い
コロナ禍で進学や学業を断念しなければならなかった学生、出産や育児でキャリアを中断してしまった女性、年収200万円台からの伸び悩みを感じている会社員…さまざまな事情を抱えつつも、IT専門人材へのステップアップを目指す意欲のある人にとって、ISAを導入する「CODEGYM エンジニア転職」は大きな可能性を感じるのではないだろうか。
また、CODEGYM エンジニア転職とは別に、コロナ禍で学習機会を奪われたIT業界志望の学生向けに起ち上げた無償のプログラミング学習プログラム「CODEGYM Academy」では、2021年度に年2回の生徒募集を行ったところ、全国から1000名以上の応募があったという盛況ぶりだ。
約半年にわたって毎週課されるグループワークや、無断欠席2回で退校という厳しい基準のカリキュラムであるにも関わらず、完走率は3割以上というのは驚きだ。なお、CODEGYM Academyでは協賛スポンサーからの支援によって実質的な無償提供を実現している。
CODEGYMでは今後もCODEGYM Academyの選考倍率の強化を図ると同時に、カリキュラムの濃縮化などによって卒業までの完走率を高めていく方針だ。こうした取り組みの結果として、文系出身者でも卒業後に大手IT企業にエンジニアとして就職するなどの事例は増えつつあるという。また、前述のエンジニア転職においても、一連のカリキュラムを達成した受講者のほとんどが目的の転職に成功しているという。
就職・転職成功者を採用した企業からの評価も高く、IT人材の育成に新たな可能性をもたらした同社の取り組みに賛同する協賛企業や地方自治体も増えつつある。だが、そのような成果を出し始めているとはいえ、並々ならぬ覚悟や信念がなければ大きな先行投資が求められるISAの教育事業に取り組むという判断には至らないのではないだろうか。LABOT設立の経緯やプログラミング教育に注目した理由についてこう語る。
「もともと起業したかったわけではありません。僕自身とプログラミングの関わりで言うと、生まれつき体が弱く、中高生時代に不登校の時期があり、自宅からWEBサービスやゲームを趣味で作り始めたのがきっかけです。
大学では友人らとWEBサービスを起ち上げ、20歳には法人を設立して最終的に事業は売却しました。その後いくつも事業を起ち上げ、メルカリでは姉妹アプリの企画・開発にも携わりました。もちろんやりがいも手応えもありましたが、27歳になったときに10年後、20年後の世界を大きく変えていくための事業として教育の分野にチャレンジすることを決めました」
学校教育に馴染めなかった時期に、アイディアを形にできるプログラミングによって自らの才能を大きく開花させた鶴田さん。その次なるチャレンジが現在多くの課題を抱えて停滞している教育の領域というのは、運命の不思議な巡り合わせだ。
小学生の頃に最初に抱いた「将来の夢」は教師だったという鶴田さんの想いは、教育を通じて人の可能性に投資し、未来を支えるエンジニアを育成するという形で動き始めている。
文/栗原亮(Arkhē)