アスリートは健康に貢献する存在になりえる
――リスクマネジメントは新事業の立ち上げにも活きましたか?
いえ、起業してからは本当に大変で、いまもリスクを背負ってばかりですよ(苦笑)。
もともとの起業の目的が、アスリートの腸内環境や便の研究でしたが、研究だけでは収入にならない。起業当初は、人に会うたびにサプリメント発売を勧められました。
でも起業の目的であるアスリートの腸内環境や便の研究がスタートもしていないのに、サプリメントの開発もなにもないでしょう。
納得できる研究成果が得られるまでは自社の商品の発売には踏み切れなかった。だって、サプリメント発売が目的ならサプリメント屋さんになればいいわけですから。
――「AuB」が発売した栄養補助食品は研究の成果でもあるわけですね。
ここまで本当に苦労しました。資金が尽きかけて、眠れなかったり、朝に吐き気がしたりするほど追い詰められた時期もありました。でもきっと、僕がビジネスについてよく分かっていなかったから、無茶ができたと思うんです。だから理想を追って、初志を貫けた。資金繰りは、いまもキツいですけどね(苦笑)。
――起業のときも、周囲の人たちに反対されましたか?
されました。とくにビジネスを知るたくさんの人に反対されましたよ。絶対にムリだ、やめた方がいいと。これって、僕が子どもの頃、プロサッカー選手になりたいと宣言したときの周りの反応と。同じだなと思ったんです。
でも、サッカーに関しても起業に関しても僕は本気だったし、応援してくれる人もいる。だから、いまも現役時代に思い描いた、アスリートはたくさんの人に感動を与えるだけではなく、その健康に貢献する存在になりえる……そんな理想を実現していきたいと思ってます。
取材・文/山川徹 撮影/村上庄吾