僕の場合は、何かを背負えば背負うほどうまくいく
――群像劇の中での、西島さんが演じる安西のポジションはというと?
安西という人物は、ほかの役よりもちょっと共感力が強いです。主人公たちはみんな、全然、違うんですよ。世代も違うし、それぞれ違う絶望があるんですけど、安西は、「いや、おんなじだろう」っていうのがどこかにある。殺し合うんだけど、殺したくないっていう気持ちが明確にあるんですよね。でもほかの人たちはそうではなくて、特に、若いふたりからは完全に拒否されます(笑)。
――西島さんが、登場人物の中で「一番共感できる」「自分に近い」と思う人は誰ですか?
え、この中でですか(笑)。相当、難しいですね……まぁでも、安西かなぁ。理由はうまく説明できないですけど……僕は20代や30代の頃から、自分がこれをやりたいということだけで、やっていたわけではないんですよね。
観客の方が楽しめることとか、どういう人が観るんだろうと考えて、そこへ向けて演技をする部分が大きくて。周りの人も増えていく中で、その人たちのことも考えていって……身ひとつで自由にいるわけではないというのは、安西に通じるところもあると思います。
玉城さんとか工くん、宮沢さんの役は、暴力だったり、ある衝動だったり、自分のやりたいことに向かっているわけで。でも安西の場合は、過去から逃げている。そして、過去に追いつかれる。それと自分が似てるっていうのはちょっと違う気がするけど(笑)。
自分の中にある衝動のままに、ということではないと思っていて。僕はそれが面白いと思ってるし、それがうまくいっているので、自分には向いてるのかな。いろんなものを背負えば背負うほど楽しいし、結果が出るのかなという気がしています。
――そのやり方で破滅に向かわないという点では、安西とは違うということですね。
そうですね(笑)。