みずほ銀行ばかりが目立っているが…

第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が合併してみずほ銀行が発足したのは2002年4月。

資産規模では世界最大(当時)のメガバンクの誕生だった。ところが、その経営統合初日に大規模なシステム障害が発生。ATMでキャッシュカードが使えないなど、さまざまなトラブルが起こった。

2度目は2011年。東日本大震災から数日後に大規模なシステム障害が発生し、全国のATMが停止した。きっかけは義援金の振込が集中したことだった。記憶に新しいところでは、2021年2月に起こった全ATMの約7割が動かなくなるというトラブルもある。

以後、2022年2月までに軽微なものも含めて計11回ものシステム障害が繰り返された。日本経済新聞社・河浪武史金融部長はその原因をこう語る。

なぜみずほ銀行のATMばかりシステム障害が起きるのか?_1

「じつは金融機関のシステム障害は日常茶飯事で、みずほ銀行に限らず、様々な銀行で発生しています。最近でも、今年のゴールデンウィークの最初の週末にあたる4月30日に三井住友銀行の本支店のATMやクレジットカード取引でシステム障害が発生しました。

金融庁の集計では、2021年度の国内発生件数は1700件もあります。システムが複雑化するデジタル時代の宿命ともいえるでしょう。にもかかわらず、みずほのシステム障害ばかりが印象に残っているのは、それぞれの大規模障害が、タイミングの悪さ、原因の根深さ、事後処理のまずさなどで際立っていたからだと思います」

なぜみずほ銀行のATMばかりシステム障害が起きるのか?_2

2002年と2011年の大規模障害の原因は根深く、①組織、②不良債権問題、③古いシステムにあるという。

「合併比率1:1:1で3行が統合したのがみずほ。そのため、旧行を代表するリーダーが3人並立し、合併当時は"キングギドラ"なんて揶揄されていました。結果、真のリーダー不在で、意思決定が遅い組織になってしまった。また、縄張り意識が残り、組織のスリム化ができないといった弊害も顕著でした」