家庭で誰でもできる国語力養成5例
こうした現状を受け止め、子供たちの国語力を取り戻すにはどうすればいいのでしょうか。子供がある程度小さな年齢だと仮定して5つほど例を出してみましょう。
① リアルでの対話や読み聞かせ
子供は2次元のものを理解する能力が弱いので、テレビやスマホを介した育児より、絵本の読み聞かせなど親とのリアルの関係性の中で安心して一緒に未知の世界を疑似体験していくことの方が大きな成果が得られるとされています。
② 言葉の多様性を知る
たとえば「切る」という言葉には、紙を切る、縁を切る、水を切るなど多様な意味があります。言葉とは一つの意味を覚えて終わりではなく、いろんな意味を覚えて育てて大きくしていくものです。そのため、親が多様な表現をするとか、そうした言語空間に身を置くということが重要になります。
③ 思考を癖づける
何か問題が起きた時、言葉で思考する習慣のない子供は「クソ」とか「もう嫌」と言い放って何も考えなくなります。しかし、親からいつも「今日あったことを考えてみよう」「どうしてだと思う?」と思考を促されている子は、同じ状況にあっても「なぜ彼はああしたんだろう」「つらいけど、仲直りしたいな。どうするべきか」と自然に考えられるようになります。これが、考える子と考えない子の違いを生むことになります。
④ 異なる価値観に触れさせる
一つの価値観に凝り固まれば、それ以外のことを考えられなくなります。しかし、幼い頃から美術館、動物園、博物館、体験型イベントなどへ連れていき、色々な価値観に触れさせると、視点が多様化し、関心が広がります。それが思考の幅の広さや、異なる価値観を認めることにつながります。
⑤ 感情のグラデーション化
哀しみの感情を何でも「死にたい」と極端な言葉で表現する子がいます。しかし、哀しみの中には「切ない」「がっかりだ」「胸が苦しい」など様々な程度があります。それを的確に言葉で把握できれば、自分の感情に合った行動をすることができます。
語彙を豊かにすることで、自分の感情を適切に把握すれば、感情に適した行動をとることができます。逆に言えば、「悲しい」をすべて「絶望」で考えれば、大したことでもないのに「死にたい」と考えるようなことが起こります。