言葉を上手く使えず、人生につまづく子供たち

これまで私は少年犯罪、不登校、自殺、ひきこもり、ゲーム依存など様々な子供の問題を取材し、本を執筆してきました。そうした現場では、子供たちが言葉をつかえないことで人生につまずく姿を多数、目にしてきました。

「先輩に言われたから売春した」「なんで友達と仲良くできないのかわからない」「ゲームをしていれば面倒なことを考えなくて済む」「人とかかわるなんてダルいだけ」……。

背景は様々ですが、彼らは思考停止の状態、つまり言葉で物事を考えるのをやめてしまっています。そもそもその力に乏しい。だから、自覚がないままどんどん悪い状況に陥っていく。

私は、こうしたことは問題を抱えた子供たちだけに当てはまることだと思っていました。しかし、現場の教員方によれば、学校で起きている「問題行動」にも相通ずるものがあるといいます。

ネットに同級生の個人情報を書いてはいけませんと言われて「事実を書いてなぜ悪い?」と答える子、意見を聞かずに相手を一方的に論破することが正義だと考える子、あらゆることを自己責任として切り捨てる子……。共通するのは、言葉で状況を深く捉えられていないことです。

なんで、子供たちの間にこうしたことが起きているのでしょうか。