積乱雲が発達しやすい「曜日」がある?

驚くことに、「積乱雲は水曜日に発達しやすい」という研究結果があります。
東京など人口の多い都市はとくに、人間活動が休日に比べて平日に活発です。そのため、人工排熱などの影響で平日に気温が高くなり、休日に気温が低くなるという週末効果があります。週末効果は空に浮かぶ小さなチリ(エアロゾル)の濃度にも起こっており、大型トラックの交通などの人間活動によって火〜木曜日に濃度が高いという研究があります。エアロゾルの多さは雲のできやすさにも関係します。きれいな空では積乱雲内で雨がすぐに成長して降ってきますが、汚れた空では雲のつぶが多くできるためになかなか雨になりません。結果として、水蒸気の供給量が多くなって積乱雲が発達、水曜日を中心に雨も増えるというのです。
この説はまだ議論中ですが、人間活動は空にさまざまな影響を与えています。雲と上手に付き合うために、まずは空を知ることからはじめましょう。

積乱雲には地域によって違う名前がある 面白すぎる雲のはなし_13
©Kentaro Araki/KADOKAWA

積乱雲には地域によって違う名前がある

古くから各地で入道雲(雄大積雲)や積乱雲は夏の風物詩として親しまれており、地域ごとに呼び名があります。関東・江戸では坂東太郎と呼ばれていますが、これは本来利根川を指している言葉。利根川の上流域で発達した積乱雲が川に沿って平野部にやってきたことに由来すると考えられています。
川に由来する名前はほかに、九州・筑後川の筑紫次郎、四国・吉野川の四国三郎があります。また、京都では丹波太郎、山城次郎、比叡三郎の3兄弟が有名です。

もともと入道雲という名前も、由来は坊主頭のお坊さんや大入道(坊主頭の妖怪)といわれているように、日本では自然現象を擬人化して親しむ文化があります。積乱雲は農業や漁業など生活に深く関係するため、地域によって「となり合う旧国名+太郎」という命名法で身近にとらえられていたと考えられています。お住まいの地域の積乱雲の名前を調べてみると、おもしろいかもしれません。

積乱雲が発生しやすい曜日とは?  面白すぎる雲のはなし_4
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時間:日~木曜 10:00~18:00/金・土曜 10:00~21:00
   ※最終入場 閉館30分前
休館日:毎月第1・第3・第5火曜日(祝日の場合は開館・翌日閉館)
    ※最新情報は角川武蔵野ミュージアムホームページをご覧くだい
    https://kadcul.com/guide/info

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著者:荒木健太郎
積乱雲が発生しやすい曜日とは?  面白すぎる雲のはなし_5
2022年04月28日
1,375円(税込)
単行本 :176ページ
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