純文学の入門書

鴻池 まさに、自分の創作の一環としてこの記事を企画してもらいました。松波さんは、今年の4月に『カルチャーセンター』という小説を上梓なさいましたよね。実はあの作品の手法を今回、僕はパクったんです。『カルチャーセンター』っていう小説の中には、「万華鏡」という、松波さんの亡くなられたお知り合いの方の作品が内包されている。

それに飽きたらず、僕も含めて色々な小説家、批評家、編集者、アーティストの方々のコメントも収録されています。松波さんの本なんだけれど、松波さん以外の人の言葉も含まれていて、それでいてやっぱり松波太郎の作品っていう。

松波 私が昔、小説教室に通っていた頃に影響を受けた故人の作品を、ご遺族の許可を得て、収録させていただきました。こういうことは普通、反則かもしれないけれど。

鴻池 僕、『カルチャーセンター』は、純文学作家を目指す人たちの入門書となり得ると思っていて。作中作の「万華鏡」という作品を読んで思ったのは、すごく「新人賞を目指している人あるある」な出来栄えだなと。

かつて僕も、この作者と同じ場所に立っていたな、って、感慨深かったんです。そしてその「万華鏡」に対して、『カルチャーセンター』の中で、小説家や批評家たちがコメントを寄せているわけじゃないですか。デビューしていない人の作品に対して、こんなに多角的な視点が一つの本に、小説に入っていることって、まずないですよね。今後、誰かの道標になればいいと思いますね。

QRコードに映像も。「小説」のフォーマットはこの先どうなっていくのか?_1
松波太郎