映画『コンビニエンス・ストーリー』
成田凌・前田敦子インタビュー前編

ある日、売れない脚本家・加藤が富士山麓でたどり着いたのは、深い霧の中にたたずむコンビニ「リソーマート」。妖艶な人妻店員・惠子に助けられ、その夫のコンビニオーナー・南雲の家に泊めてもらった加藤は、惠子の誘惑に負けて、奇妙な三角関係に。さらに不思議な温泉街に迷い込んだ加藤と惠子の行く末は……?

映画『コンビニエンス・ストーリー』で加藤を演じたのは、『カツベン!』(2019年/周防正行監督)で映画初主演を飾り、『まともじゃないのは君も一緒』(2021年/前田弘二監督)、『くれなずめ』(2021年/松居大悟監督)など気鋭の監督作品での主演が相次ぐ成田凌。惠子にふんしたのは、AKB48卒業後、山下敦弘、黒沢清ら人気監督の薫陶を受け、近年は舞台での活躍も目覚ましい前田敦子。ドラマ『逃亡医F』(2022年)、舞台『パンドラの鐘』(2022年)などで共演が続く2人は、三木聡監督からのオファーをどのように受け止めたのか。

前田敦子の「妖艶な人妻」ぶりに成田凌は「普通ならドキドキするけど…」_1

「デビュー前からの念願が叶った」

——『コンビニエンス・ストーリー』のオファーを聞かれたときの感想は?

成田凌(以下、成田) 純粋に嬉しかったですね。『時効警察』(2006年)に衝撃を受けてレンタルビデオ店に走り、『転々』(2007年)、『俺俺』(2013年)など全作品を見てきたくらい、好きな監督。2013年に今の事務所に入るとき、マネージャーさんと話していて、「三木聡さんとお仕事がしたいです」と言ったのが、この仕事の始まりでもあったので、念願叶った感じでした。

前田敦子(以下、前田) いい話ですね(笑)。私もすごく嬉しかったです。三木さんといえば、私がこの世界に入る前から、映画の中の映画の人、「ザ・映画」という方なので。

成田 「ジ・映画」だね(笑)。

前田 そうだね(笑)。そしてタイトルを聞いただけで、「あぁ、三木組だ」って、すごく思いました。

成田 最初のタイトルは『コンビニ物語』だったんですよ。その後が……。

前田 『あやふやな結末』だった。

成田 そうそう(笑)。

前田 私は「コンビニ」が入ってるほうが嬉しかったな。

成田 そういう紆余曲折を経て、結果、『コンビニエンス・ストーリー』になって良かったと思います。