9世紀から続くベトナム・シルク
カットリン駅からハノイメトロに乗って15分程度で、バンクアン駅に到着。運賃は1万2000ドン(約73円)だった。目指すはそこから北に歩いて20分ほどのバンフック村だ。そこでシルクのお土産を買おう。
シルクといえばタイが有名だが、ここバンフック村がシルクの生産地として成立したのは、なんと9世紀。15~17世紀にかけては、銀と交換で日本に輸出されていた歴史もある。
バンフック村にいく途中の商店街では、両側にお土産物が立ち並び、空に色とりどりのパラソルがかかっている。別に傘は名物でもなんでもないし、こうした趣向はハノイの街中やベトナム各地の観光地でも見られる。「インスタ映え」を狙った演出なのだが、なにかこう「みなさんはこういうのがお好きなんでしょ?」というベトナム人の「あざとさ」(褒め言葉です)がうかがえるようで、微笑ましくさえある。
バンフック村の入口にはレンガ造りの門が建てられているので、すぐわかるだろう。
工場で働いているランさん(60)は「この通りにはあともう1件、工場があるのみ。昔は軒並み絹布の織布工場だったんだけどねえ」と昔を振り返る。訪れるなら今のうち、ということか。
お土産のお勧めは、シルクのネクタイなど。実はベトナム土産で困るのが男性向けのもの。女性向けはアジア雑貨や焼き物などたくさんあるのだが、男性が貰って喜びそうなものが少ない。必要な人はこの村でゲットしておこう。
バスと電車を乗り継いで近代的な高層ビルが並ぶ街から1000年の時を超えた伝統工芸の村へ。それが新しいハノイ観光の魅力だ。
<ベトナムへの渡航について>
2022年3月15日、ベトナム政府はこれまでの入国制限を全廃し、水際措置適用以前の入国手続きに戻すことを発表した。これにより日本人の入国については入国目的にかかわらず入国日から15日間の滞在について査証が免除され、ワクチン接種の有無、回数を入国の条件とせず、また陰性証明書の取得、持参も入国の条件としていない。しかし状況は今後変わる可能性もあるので、詳しくは、在ベトナム日本国大使館のHPで確認してほしい。
文・写真/新妻東一