テニスやバイクなど、いつもの趣味に過信した⁉
次は、日ごろの趣味の最中にまさか…という人たちの事例です。
●37歳・女性・自営業
「テニスが好きで、夏でも例年、趣味仲間と屋外コートでプレーしています。仕事で睡眠時間が短めだった翌日、『30度を超えているから、夕方に短時間で』と用心してテニスを開始。
でも10分ほどすると、急に足がひどくもつれてしりもちをつき、目の前にはチカチカと星が飛び、コートがゆがんで見えました。すぐ近くの内科に運ばれましたが、睡眠不足と、『得意なテニスなら大丈夫だ』という過信が原因だったかも」
●55歳・男性・会社員
「趣味はバイクです。暑くても日焼けとケガ予防に長袖長ズボンは常識ですが、冷感で吸汗速乾素材のインナー着用だと、風が体にあたる走行中は涼しいです。
気温が30度前後の炎天の日、いつものように走りに出ました。ところが、信号待ちの時に灼熱感を覚え、全身が重く、ヘルメットをはずすと視界が白っぽい感じがしました。汗は出ず、風邪の発熱と違って体中に熱がこもった感覚です。
そこからは記憶があまりないのですが、朦朧(もうろう)としながらもかかりつけ医に。あとで思えば、走行中は水分や塩分補給をしていませんでした」
福田医師 皆さん、「自分は暑さには慣れている」という根拠なき思い込みや油断があったのかもしれません。しかし、慣れほど怖いものはなく、実際、元アスリートにも熱中症経験者は多いです。炎天下、高温下、高湿度下での運動、バイク走行などでは、体温が急上昇しやすくなります。さらに睡眠不足時は危険です。
汗をかく前、15~30分に1回は水分と塩分を補給してください。体調不良を感じたら、すぐに趣味や運動を中止して涼しいところに移動し、可能であれば体表面に近い大きな血管がある首、わきの下、そけい部を重点的に冷やしましょう。
手のひらを保冷剤や冷たいペットボトルで冷やすと、血流の作用で体温を速く下げる「手のひら冷却」という方法も知られてきました。日ごろから活用してください。