チーム強化に大きな差が生じている
なぜ、それだけの差が生まれてしまうのだろうか。これは単純に、学校間のレベルの差が如実に表れた結果といえる。
同じ試合をした時に、次も82−0の得点差がつくかどうかは別にして、現時点で両チームにこれだけの差があるのは間違いない。
ただ、現在の高校野球事情を鏡みれば、当然の帰結ともいえる。なぜなら、学校ごとに野球部を強化するレベルに差が生じているからだ。
単純に考えて、高校野球の強豪チームになり得る要素には、主に以下の3つが挙げられる。
1 選手の質と量
2 それに見合うだけのグラウンドと指導者の人数
3 練習時間
もし、全国の野球部に部員制限があり、練習時間制限もあり、他府県への野球留学が禁止されていたとしたら、これほどの差にならないだろう。
しかし、今の高校野球にそのようなルールは存在しない。選手をたくさん抱えられるチームはどんどん選手層に厚みを保つことができるし、練習時間は深夜まで及ぶこともある。多くのOBをコーチとして招聘するチームも少なくない。
選手の質と量を確保できた上に、練習グラウンドがあって、みっちりとした練習時間を確保できる。そういうチームと、部員9人を揃えるのがやっとで、グラウンドは他のクラブと共用。指導者は監督しかいない、といったチームが対戦するとしたら、その差は歴然としたものになるだろう。
あえて極論な例を挙げたが、ここで重要なことは、全てを備えられるチームとそうでないチームに大きな不公平感があるということではない。上記に挙げた3つの要素のプラス面とマイナス面がある中でチームづくりを行った際に、大きな隔たりができることを理解する必要があるということだ。
それこそ第1回の甲子園が開催された時、上記3つの要素において、今ほどの違いはなかっただろう。高校野球は部活動であり、学校の授業の延長線上としてのみ存在し、大きな隔たりを生むことはなかったはずだ。
高校野球を語る上で、時に「平等」を口にする人もいるが、今はそんな時代ではないのだ。この現実を受け入れなければならない。