【3本目】ブラピとアンジー経営のワイナリーが造るロゼ
地中海に面したプロヴァンス地方は、ワイン生産の約80%がロゼワインという一大産地だ。
「かつてソムリエの勉強をしていたときに、ロゼが美味しい産地といえばプロヴァンスかローヌのタヴェルと刷り込まれました。私の中ではよく晴れた日に飲みたくなるロゼ=プロヴァンスです」
プロヴァンスで造られる「STUDIO BY MIRAVAL 2020」(ミラヴァル)のさわやかな味わいは格別だという。
「地中海に接していて天気のいい地域のワインなので、気温がぐっと上がった春の日に飲みたくなります。このワイナリーはブラッド・ピットとアンジョリーナ・ジョリーが協同経営者ということで有名。チャーミングな酸味と品種固有のスパイシーな香り、適度なタンニンが見え隠れします。ジャンボンフロマージュ(バゲッドにハムチーズを挟むサンドイッチ)やスモークチーズ、パストラミなどスパイシーなアクセントがある加工肉が合いますよ」
【4本目】サクランボのような酸味が楽しいスペイン産
続いて、スペインのカタルーニャ州で造られる「JEAN LEON3055 2019 ロゼ」(ジャン・レオン)は、実業家のジャン・レオンが経営したレストラン「ラ・スカラ」の客にふさわしい上質なワインを造ろうと故郷のスペインで立ち上げたワイナリーのものだ。ちなみに、ワイン名の「3055」は、レオンが若かりし頃にタクシー運転手をしていたときのライセンスナンバーだ。
「このロゼは淡いサーモンピンクがとても美しい。さまざまな香りの中に桜の花のニュアンスも。日本のサクランボのように柔らかい酸味、ほのかな苦味もあります。余韻が比較的長いのでひとりでのゆっくり花見にもよさそうです。幅広いお料理に適合しますが、ワインの色に合わせてサーモンを合わせてみましょう。ディル、オレガノ、バジルなどの香草とグリルすると風味が増しますよ。窓越しに桜を眺められるシチュエーションならこうした料理を作ってみるのも手です」
【5本目】ボトルがかわいく和食にも合う中甘口
そして、最後に挙げるのは世代によっては懐かしさを感じる「MATEUS ROSE」(ソグラペ)。
「子供の頃、父親がお中元お歳暮にもらっていたのがウイスキーとこのマテウスとのセット。ボトルの形は変わりませんが、色は緑がかかっていていましたね。今は透明になっていて、赤みを帯びた鮮やかな色が花見の席で映えます。中甘口とされていますが、かすかに泡立ちがあり、すっきり感も。肉じゃが、ほうれん草の胡麻和えなど甘さもある味付けの和食と合わせるのがおすすめ。レアチーズケーキにも意外と相性よしです」
さまざまなロゼワインを飲み比べ、春色のグラデーションを楽しむのも一興。ぜひお試しあれ。
取材・文/小林 悟
撮影/松本 侑