「ファッション」と「アウトドア」のいいとこどりを追求

海外と違って、日本人は商品を選ぶ際の基準が高いので、「いかに日本のマーケットにフィットするか」を考えながら、ノースフェイスを根付かせる努力をしてきたそうだ。

「海外ブランドを展開するビジネスは、基本的に本国で生産された商品を販売するディストリビューション方式の形態をとります。一方で、ノースフェイスの場合は弊社で培ってきたものづくりのノウハウを生かし、日本独自の企画・販売を手がけました。

アウトドアブランドの持つ機能性の高さはもちろん、素材やカラー、裏地にもこだわり、商品に求めるクオリティの基準が高い日本人のニーズに応えられるような商品を市場に出してこられたのが、多くの方に愛用されるブランドに成長した要因だと思っています」(森氏)

「マウンテンライトジャケット」や「ヌプシジャケット」など、ノースフェイスを代表するアウターはもちろん、“DO MORE WITH LESS(最小の力で最大限の機能を引き出す)”というブランドアイデンティティをもとに、アウトドアを立脚点とした商品を数多く生み出してきた。

過去最高売上982億円。「ザ・ノース・フェイス」を支える安心のブランド力_1
ノースフェイスを代表するアウター「マウンテンライトジャケット」

「アウトドアの原点を忘れずに、機能性や使いやすさ、デザインを追求した商品開発を行っています。ある種、お客様が求めるファッションとしての『軽さや着心地・使い勝手の良さ』とアウトドア用品が備えるべき『保温性などの機能面』は相反するものだと思っていて、これらを両立する必要性があると感じています。

こうした宿命を背負いながら、素材やデザイン、スペックを試行錯誤しつつ機能面も担保することにこだわり、お客様のニーズを満たせるように努めています」