いじめを根絶するのは難しい

たしかに、いじめが発生したらクビという処罰規定が定められたら、学校の先生は、必死になっていじめが発生しないように監視してくれるかもしれません。

しかし、いじめが発生する場所や理由について考えた際、多くの場合、学校の先生の見えないところで行われるものであり、発生する理由も些細なきっかけから始まり、徐々にエスカレートしていくことが多いわけです。

また、これまでの話から、いじめを完全にゼロにすることはたいへん難しいことは理解してもらえたかと思います。

たとえば、この状態で担任教師や学校にだけ過度な処罰規定を設けた場合、おそらく多くの学校はいじめを隠蔽してしまうか、「ふざけ合い」「じゃれ合い」といじめをなかなか認めようとしなくなるでしょう。いじめ被害者にとってはたいへん不幸なことになります。

「いじめは隠すものではなく、積極的に掘り下げて対応しよう」

これが現在の我が国の方針です。そのため、いじめが発生した段階での教師への処罰規定は設けておらず、悪質な隠蔽や放置など、いじめ防止への義務を意図的に怠った場合にのみ、当該教師を処罰できるようになっているのです。

#1  SNSでのいじめ・暴力告発はNG! オススメできない3つの理由
#2 ネットでの誹謗中傷から身を守るために知っておきたい対処法

『もしキミが、人を傷つけたなら、傷つけられたなら』(フォレスト出版)
犯罪学教室のかなえ先生
子どもがいじめの被害者にも加害者にもならないために必要なこと_2
2022年7月21日
1540円(税込)
単行本(ソフトカバー) ‏240ページ
ISBN:978-4866801735
amazon