経済成長率0%で30%減の現実
所得代替率とは、現役男子の平均手取り収入額に対して年金額は何%にあたるのかを示す指標です。2019年はモデル世帯だと所得代替率が61.7%と書かれており、ケース1だと2046年には51.9%になると書かれています。61.7%が51.9%になるということなので、約84%(51.9%/61.7%)となり、16%ほど年金が少なくなるということになります。
つまり、仮にどれだけよくても年金は今の水準から16%ほどは少なくなるよということですね。現実的なラインに見えるケース4やケース5だとどうでしょう?
ケース4だと2053年には所得代替率が46.5%(機械的に給付水準を下げた場合)となっています。現在の水準からすると、25%減です。ケース5だと28%減です。
そう考えると、経済成長率0%という経済状況でおおよそ30%減ですので、年金は破綻するという認識ではなく、今より30%少なくなると思って心づもりをしておく方が現実的ではないでしょうか。
経済成長して賃金が上がれば年金制度は全く問題ないわけですので、年金の問題は制度の問題というよりは日本経済の問題だというのが僕個人の意見です。
ちなみに、人口比率の問題じゃないの?と思った方もいると思いますが、それも勘違いです。 確かに1970年は65歳以上1人に対して65歳未満の人は13.1人でした。それに対し2040年には1人を1.8人で支える構造になります。
いわゆるお神輿型から肩車型と呼ばれるものですね。
これだけ見ると年金は破綻していそうに見えますが、年齢区分ではなく、働いている人と働いていない人の割合で見ると見え方が変わります。1970年では働いていない人1.05人を働いている人1人で支えていました。そして2040年では働いていない人0.96人に対して働いてる人1人が支える構造になります。
つまり、ほぼ変化がないということです。
理由は簡単で、みんなの働き方が変化しているからです。女性が働くようになり、55歳退職だった時代から比べると、より長く働く時代になりました。高齢者も増えるけれども、働く人も昔より増えているということですね。