世界でも前例がないアプリ開発

「これまでに全く存在しないアプリを一から開発・設計していくことが、とにかく難しかったです」

小野塚氏は開発の過程をこう振り返る。たとえば、ライブストリーム系のアプリであればYouTubeやTwitchなど前例はあるが、「Stchar!」にはそういった前例がなく、一から作らなければならなかった。他にも、オフライン上で広告を同期させる技術、報酬計算の技術、ウェブ広告さながらの出稿システムなど、既存のアプリには存在しない技術を詰め込むことに、小野塚氏らは相当の苦労を強いられたようだ。

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「Stchar!」アプリのホーム画面

「Stchar!」は様々なチャレンジを乗り越えて、構想から数えること2年半弱、ようやくアプリがリリースできる段階になった。

想像をはるかに超える反響に、嬉しい悲鳴も

2021年12月25日には晴れてベータ版のテストをスタートさせた。が、1ヶ月ほどで東京都でまん延防止等重点措置が発令され、テストは中止に。実験はほぼできなかったが、2022年6月4日にアプリ正式版のリリースにこぎつけた。

それと同時に、SNSやウェブメディアに取り上げられて大きな反響を呼んだ。また今のところシステム面に大きな不具合はなく、トラブルも軽度ですぐに解決。一定数のユーザーが安定して活動しているようで、大きなクレームも現時点ではないそうだ。

サービスは好調で順風満帆――。と思いきや、全てが順調に進んでいる訳ではない。その1つが「専用バッグの在庫不足」だ。小野塚氏らの想定をはるかに超える反響が集まり、最初に用意していた300個の「Stchar!」バッグはあっという間に完売。リクエストが毎日届くほど、再販が熱望されている。

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iPad(iPad miniと12.9インチを除く)を入れた状態の専用バッグ

なぜサービスをバスらせることができたのか!?

エンジニアチームいわく、無名の会社がネイティブで開発したアプリは、ダウンロード数100を超えることも容易ではないという。しかし「Stchar!」はこれをわずか1~2日で達成。しかも、会社側はリリースにあたり特別な仕掛けを容易したわけではなかったそうだ。

しかし、その裏で確固たる信念も持ち合わせていた。

「そもそもインパクトのあるサービスだと考えていたので、広報の計画どうこうよりも、サービス自体のファーストインプレッションがバズを生んだのかなと思っています」(照井氏)

広報活動では、『時給最大1,200円』を強くアピールしているのもポイントだ。「実際に時給1200円相当の金額を受け取れた」というテストユーザーの声をもとに訴求しているところにこだわりが感じられる。

また、「Stchar!」バッグはアパレルとしても好評で、電車での移動中にバッグを抱えたままiPadで読書するという使い方もできる。さらに、驚くことにニューヨークでこれを日常利用するユーザーもSNSで見かけたという。もともとTシャツを用いてビジネスの展開を構想していたアパレル好きの小野塚氏にとって、思いもよらない嬉しい知らせだったようだ。