「不幸に遭った人」には寄り添う声掛けが大切
――カルトにハマりやすい人とは?
一般的に、順風満帆な人生を送っているときにカルトに足を踏み入れるケースは稀です。不慮の事故や身内の死など、とてつもなく辛い傷を負った人が知らず知らずのうちにマインドコントロールされてしまうことは多いですね。山上容疑者の母親の場合も、夫の自死や第1子(山上容疑者の兄)の病気といった不幸が重なった。
もちろん、こうした辛い状況にあっても誰もがカルトにのめり込んでしまうわけではありません。大きな分かれ道となるのが、苦しみを分かち合ってくれる存在が身近にいるかどうか。親しい人に不幸が降りかかって悩み苦しんでいるのなら、寄り添い、いつでも話を聞く姿勢で接して、忍び寄るカルトの勧誘者を警戒してあげてほしいです。
テレビやネットなどでは、毎日のように悲惨な事件・事故のニュースが流れます。口コミも含め、カルトはこうした情報にアンテナを張り、理不尽ともいえる不幸のどん底で希望を失っている人たちを狙っています。身近な人を守るためには一歩踏み込んで、「タタリや因縁などという怖いことをいう人が近づいてくることもあるから気をつけてね」「見知らぬ人が訪ねて来て『今日ここで話したことは他の人に言わないように』などと言われたらカルトだよ」とアドバイスするのも効果があります。
特に気をつけなればいけないのが、裕福な人。カルトは、悩んでいる人の経済状況に敏感です。入信させてしまえば多額の寄付が見込めるので、平均的な収入の人よりも、お金持ちの人には短期集中で労力を費やして勧誘します。
また、大学生ら若者が自己啓発セミナーを装ったカルトに足を踏み入れてしまうケースでは、承認欲求を満たしたい、存在意義がほしいなどが主な理由です。受験勉強を頑張って大学に入ったはいいが、目標を見失ってしまった。就活に失敗して自信をなくしてしまった。そんなふうに弱っている人は要注意です。